以前、ぼうふら漂遊日記で紹介されていた星野博美氏の本を見つけたので買ってみた。
確かに面白い。
読み終えるのが惜しい本だった。
そして、ほぼ同年代だった。(私が数年下っぽい)
今のこの世界に対する違和感だとか、その一方で「私は世界に加担している」という感覚だとか、頭で理解できるというよりも、感覚として「わかる」に近い気がした。
そう書いてしまうと、まるで星野氏に事寄せて、自己讃美をしているようだが、そういう意味ではない。
もっとも、吉本隆明氏によれば、優れた作品は読者に「自分だけが共感できる」と思わせるらしいので、この本がすばらしいということの証明になるだろう。
例えば、と、書き写して紹介したい衝動にも駆られる。
だがそれを引用したところで、この本の魅力について説明したことにはならないだろう。
読んでみた方が良いとだけ言いたいのだけれど、それもまた何の説明にもなっていない。
この本はエッセイという括りなのだろうけれど、読んだあとからじわりじわりと効いてくる。
言葉が届く深さが違うのかもしれない。
何かを解説して、それを読んで判ったような気にさせられてしまう、という本ではない。
かといって、世の中に対して斜めから眺めて、外野からあれこれ野次を飛ばしているという本でもない。
そう考えてそう思っていることが、容赦なく、そして反論のしようが無い。
他にも探して買ってしまうかもしれない。
いや、買うだろう。
- 作者: 星野博美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/12
- メディア: 文庫
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