雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

カンバセイション・ピース/保坂和志

久しぶりに再読した。

持っているのは新潮文庫版。

とめどないおしゃべりと猫と横浜ベイスターズの小説である、と纏めてみる。

新しくも古くもないが、90年代の雰囲気が滲み出てしまっているが、それもまた背景に過ぎない。

何も起きない、いつまでも続きそうな日常、ある意味では分かりやすい物語に依存した小説に対するアンチテーゼでもあるが、既に物語に回収されてしまっている。

それはリアリズムからは離れ、ひとつの物語としての、どこにもない日常としてしか存在しない。

そのような小説を読みたがるのは倒錯した趣味なのかも知れない。

二重に屈折した小説世界という感じがした。

 

カンバセイション・ピース (河出文庫)

カンバセイション・ピース (河出文庫)

  • 作者:保坂 和志
  • 発売日: 2015/12/05
  • メディア: 文庫