初めて読んだ。
名前は知っていてもなかなか手が伸びなかったのは、私小説だからに他ならない。
内面の吐露という、作者のはらわたを見せられているような文章は、つい好きか嫌いかで判断してしまっていたように思う。
だが、西村賢太氏には何か惹かれるものがあった。
この物語の主人公は恐らく作者であり、描かれる世界は体験なのだろうけれど、それが事実なのかそうで無いのかという事ではなく、現実を越えた物語世界として成立していると思った。
テーマもエクリチュールも異なるが、1950年代以降のラテンアメリカ文学におけるマジックリアリズムにも似ている。
もう何冊か読んでみるかもしれない。
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