久しぶりにロラン・バルトを読み返してみる。
この本は写真を巡る考察でありながら、彼の母親の思い出、そして家族の歴史に遡る本でもある。
ストゥディウムとプンクトゥムという概念から写真の意味を定義する。
写真が表しているコードがストゥディウム、それを貫通する一撃のようなもの、裂け目のようなものがプンクトゥムとして、画像を解読する。
だが、様々な写真をストゥディウムとプンクトゥムで解説するのではない。
他の要素も使い写真の本質を探っていく。
いや本質というのは正しくない。
写真を様々な要素で読み取っていく。
行きつ戻りつ、結論めいたことは言わずに、写真とは何であるかということを考察する。
それは結局のところ、光のコントラストであるということを言っているように思った。
色彩でもなく、形でもなく、ストゥディウム/プンクトゥムを想起させているものは光であり写真である、ということなのではないだろうか。
恐らく著者であるロラン・バルトはYESとは言わないであろう。
結論を出さない、様々な角度から写真を考察する、それがこの本の主題であり、写真から想起される思い出へのレクイエムなのだと思った。
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