サンカについてというより、三角寛とはどのような人だったのか、という点に言及している本。
いささか筆が走ってジャーナリスティック過ぎるきらいもあるけれど、三角寛のサンカ本の元ネタについて検証し、暴いていく。
非定住の職能民が独自の社会を築いていて、いわば、もう一つの日本社会がある、というのは手垢にまみれた陰謀論の源流の一つとして、昭和に三角寛によって広められたサンカ伝説があると思うけれど、それをまだ信じてしまう人たちがいるというのは、面白い。
そうは言っても、欧米でも未だに天動説を信じている人たちもいるらしいし、目に見えるものだけが真実じゃない、とか、本当の真実は隠されている、といった言説に飛びつきたくなるものなのだろうか。
話が逸れたが、この本は三角寛の評伝のような本だ。
そして、最後の方に著者自身によるサンカの人たちと交流の一端が披露されている。
それもまたちょっと面白い。