冷めている醒めている褪めている?
- 作者: A.ピエール・ド・マンディアルグ,生田耕作
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1984/01
- メディア: 新書
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買ったのは多分10数年前だったかと思う。
そのころ手に入るシュルレアリスム関係の本は、片っ端から買い漁っていた。
改めて読んでみると、なんて読みづらいんだろうという印象だった。
しかし、それは欠点ではなく、一つのスタイルであるということ。
主人公の行動と回想が時制を行きつ戻りつ物語が展開する。
だから、要約してしまうと、何ということは無い物語なのだが、それではこの小説の本質を捕らえてはいない。
この本がシュルレアリスムなのかと考えると、本質的に果してそうなのだろうかと思う。
日常に挿入される非日常に心を奪われる、それは被支配される側の甘美な幻想であり、マルキ・ド・サドの思想の延長にあり「O嬢の物語」に類似した幻想なのであろう。
オートバイ、レザー、サディズムといった小物が象徴しているもの、主人公の行動が意味するもの、時制を行きつ戻りつし主人公の意識に沿って展開する物語、それらの総体はシュルレアリスムであろうか?
高揚感も無く、とても冷たい感じがする小説。