うねって跳ねて
- 作者: 泉鏡花,川村二郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1987/09/16
- メディア: 文庫
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いつ買ったのか覚えていないが、だいぶ前だったような気がする。久しぶりに引っ張り出してみると、まったく内容を覚えていなかった。なぜか一時、泉鏡花を片っ端から読んでいた。でも全集を買うお金もなく、やはり文庫でしか読んでいない。鏡花といえば、化け物であり、幻想であり、絢爛豪華なイメージがある。実際、読んでみると登場する小物や設定からそれはそうなのだが、それ以外の鏡花らしさのポイントは、やはり文体なのだと思う。植物や色に関する語の多さもあると思うのだが、今回気になったのは、文のリズムが特殊なのだと思った。何と言うか、うねるような跳ねるような、句点の打ち方、体言止め、それらがある種のリズムとなっていることが、読み進むときに影響しているように思う。また、擬態語、擬音、会話の語尾、そういったものが、物語のうねるような文体とは対比をなしている。そして、主客が曖昧な、ともすればどこの視点か判らなくなるような感じもする。