雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

マス・イメージ論/吉本隆明


挑発する批評

マス・イメージ論 (福武文庫)

マス・イメージ論 (福武文庫)


1988年の出版ということは、おそらく学生の頃に読んだのか?
この本では、その頃に作家、批評家が中心に行った反核キャンペーンを挑発している。
(そういえば、その頃の「朝まで生テレビ」でも、そんな流れのサヨク系(あえてカタカナ)文化人とやらが、大島渚舛添要一栗本慎一郎とやりあっていたっけ)
吉本隆明は、こういった著作できっちりおちょくりながら、それとは別に、自らの批評の分野も広げていたのだと思った。
つまり、この本では、小説や現代詩や古典を語るのと同じ言葉で、CMについて語り、RCサクセションを語り、マンガを語っている。
そしてそういった批評の焦点は、サヨク系文化人が声高に語る核による社会の危機より、さらに深層の問題を衝いているのだ。
バブルがはじけた今となってはどうか?ということはありながらも、その鋭さは色褪せてはいない、と思うのだった。