雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

茶の本/岡倉覚三

茶の本 (岩波文庫)

茶の本 (岩波文庫)


言わずと知れた岡倉天心の「茶の本」である。
20年ぶりぐらいに読み返してみた。
この本は茶について語りつつも、アジアを語ろうとしている。
アジアをというよりは、非英米としての存在を、そのなかでの日本の優位さを語ろうとしている。
注意しなければいけないのは、時代背景や、その主義主張の背景だ。
明治政府におけるナショナリズムの発揚と誘導、そしてその延長線上にある汎アジア主義とでも言うべき考えは鵜呑みには出来ない。
だからと言って、この本がなぜ書かれたのか、と考えると、岡倉天心のいる場所がぼうっと見えてくる。
実際読んでみると、茶道に関する記述は少ない。
なぜ、日本を伝えるために茶道を選んだのか?
それがこの本の隠れたテーマであるといえるかもしれない。