年末年始で図書館が休館中。
かといって、これといって読みたい本も見つからず。
家人の蔵書に手を出してみた。
とはいえ、向田邦子氏が脚本家であることぐらいしか知らない。
小学生の頃、NHKのTVドラマで「阿修羅のごとく」を観ていたのだが、それが向田邦子作だと知ったのは、社会人になってからのことだった。
相変わらず不勉強極まりない読み手なのだけれど、ともあれ読んでみた。
最初はなんかだらだらとした思い出話だなと思ったのだけれど、やがて話題の中心が亡き父への想いが明確になるにつれて、随筆としての形が定まっていくように思った。
思い出を探り、亡き父という存在を再確認することで、スタイルが決まってゆく。
そのスタイルが様々な思い出を掘り起こし、それがどこかで自分の家族の思い出につながる。
きれいな円環構造ではないが、話は行きつ戻りつ、ひとつの方向に向いている、そんな本だと思った。
もう少し、向田邦子氏の作品を読んでみようか、そんな気になった。
- 作者: 向田邦子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/08/03
- メディア: 文庫
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