随筆ばかり読んでいると、論理的思考ができなくなるような気がして、とはいえ急に堅い人文書に手を伸ばすほどでもなく、ちょっと堅めの随筆を選ぶ。
内田樹はレヴィナスの翻訳者として知っていたはずなのに、随筆で見かける名前と一致していなかった。
ともあれ、「街場の」シリーズにちょっと手を伸ばしてみる。
おそらく、大上段に構えた人文系の論説ではなく、例えばこの本のような、悩み相談といった形式で、テーマに触れたりするのがこのシリーズなのだろうか。
語られていることは、ややレトリックに流れているような気がしなくもないが、まぁ、面白く読めた。
通常のモノの見方とは異なる捉え方、一見自明のようなことでも批判的に捉える、という考え方のトレーニングが出来れば良いのだろう。
だから、現代思想の解説として読んだらがっかりするかもしれないが、解説を読んで解ったような気になってしまうよりはマシなんじゃないだろうか。