気になっていたので、図書館で借りてみた。
今さら説明も不要だろうが、稀代の大女優の自伝である。
凡そ自分の親と同世代、自分が名前を知ったころはパリ在住で、マリームのCMぐらいの印象だったが、その後、市川崑監督の「黒い十人の女」で再発見した。
とはいえ、その業績のほとんどを知らなかった、というのが、この本を読んでよく判った。
人に歴史ありとは言うものの、第二次世界大戦中の横浜空襲の記憶から、日本映画黄金期の活躍、渡仏から海外でのジャーナリスティックな活動、そして現在に至る半生は、戦後史と言えるものでもあり、一人の人間の人生としても波瀾万丈に満ちている。
もし岸恵子の名前が分かるのであれば読んでみた方が良いし、知らないのであれば、まず1950年代~1960年代の映画の一つでも観て読んでみるのが良いと思う。