椎名誠を知ったのは、ラジオの朗読で聞いた「さらば国分寺書店のおばば」であったと思う。
その後、何冊か読んだけれど、あまりピンと来ていなかったような気がする。
その「さらば国分寺書店のおばば」を図書館で探したけれど見当たらず、せっかくだからと、最近の著書らしいものを借りてみた。
死に関するエッセイ、と言えばいいのか、物語でも無いし、考察でも無いし、やはりエッセイなのだろう。
世界各地の葬式に関する雑学や、近親の方たちの死であったり、ご自身が死にそうな目に遭った話だったり、とりとめもなく語られている。
その中で、特に印象に残ったのは「あとがき」であった。
子供たちの自死、老人たちの尊厳死についての意見は、全く同一意見ではないけれど、なるほどと思うところもある。
また、生まれた子供を精霊に任せると決断した母親が、自ら我が子を殺めてシロアリの巣に置き、何日か後に巣ごと焼き払う、という未開部族の話が印象に残った。
何か鬼気迫るものがある。