雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

センセイの鞄/川上弘美

久しぶりに川上弘美を読んでみようと思ったのは、酔っぱらっていたからかもしれない。

酔った帰りにブッ〇オフで何となく買った。

何冊か読んだのが数年前だった気がしている。

川上弘美の小説は少女漫画的な印象がある。

少女漫画とは何か、という話はたぶん複雑で入り組んだものになるような気がするけれど、端的に言えば、登場人物たちは性的な匂いはしないし、日常の機微な出来事が大層な事のようにクローズアップされる世界だと思う。

高校の恩師であるセンセイと、かつての教え子であった主人公の、淡い恋情の物語である。

例によってあらすじをまとめたりしないが、30才ほど年の離れた2人という設定自体が少女漫画的だとも言えるだろう。

もちろんそれが何ら悪い意味で言っているのでもないし、そう感じるのは読者である自分のジェンダー的な限界でもあるかもしれない。

作者がこの小説を少女漫画のように、想定したかどうかは知らない。

だが、この小説に込められた感慨のようなものは、少女漫画的な発想に基づいていると思う。