雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

生き延びるために芸術は必要か/森村泰昌

森村泰昌は自らが絵画作品になるという手法のアートで知った。

その作品の意味を考えたこともなかったが、キャッチーでありながら、古典の意味を問い直す批評的な手法だと今さらながらに思う。

そこで、改めて著作を読んでみた。

芸術とは何か、まさに本のタイトルにあるように、生き延びるために必要なものか、という問いに対するいくつかの回答のような本である。

もちろんこの問いに、必要ではないという答えは無いのだから、いかにして必要であるかという説得が主題なのだとも言える。

だが、一通り読んでみると、「芸術家」という存在が、いかに激動の時期を生き延びたのか、という考察だと思った。

つまりこの本の主語は「芸術家」であり、「私たち」では無く、もしかすると著者である「私」にとっての芸術という考察であったように思った。

それが悪いわけでは無いし、内容も面白いのだけれど、ちょっと肩透かしを食らったような気もする。