森村泰昌は自らが絵画作品になるという手法のアートで知った。
その作品の意味を考えたこともなかったが、キャッチーでありながら、古典の意味を問い直す批評的な手法だと今さらながらに思う。
そこで、改めて著作を読んでみた。
芸術とは何か、まさに本のタイトルにあるように、生き延びるために必要なものか、という問いに対するいくつかの回答のような本である。
もちろんこの問いに、必要ではないという答えは無いのだから、いかにして必要であるかという説得が主題なのだとも言える。
だが、一通り読んでみると、「芸術家」という存在が、いかに激動の時期を生き延びたのか、という考察だと思った。
つまりこの本の主語は「芸術家」であり、「私たち」では無く、もしかすると著者である「私」にとっての芸術という考察であったように思った。
それが悪いわけでは無いし、内容も面白いのだけれど、ちょっと肩透かしを食らったような気もする。
生き延びるために芸術は必要か (光文社新書) [ 森村泰昌 ]
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