
- 作者: 中上健次,川村二郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1988/01/27
- メディア: 文庫
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確か最初に中上健次を読んだのがこの本だったように思う。
強い酒をあおった時の様な喉のひりつく感じとでも言うか、強い日差しで肌をじりじりと焼かれるような感覚とでも言うか、緊張感と焦燥感が混じりあったような皮膚感覚なのだ。
「枯木灘」のようなフィクションは、熊野と物語を二つの焦点に持つ楕円軌道の上を廻っていく形だとするなら、この「熊野集」は熊野=物語と置き、楕円の2焦点を重ね合わせることから生まれる実験であるだろう。
それは、物語の舞台であり、物語を生成する現場であり、物語が生まれる母体でもある。
この本をきっかけに、中上健次にはまって行くとともに、熊野への憧れが芽生えてきたように思いだす。