雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

アメリカ・アメリカ/中上健次


余興ではなく


最初に読んだ時は、正直なところ、ピンと来なかった。
改めて読んでみると、中上健次という、その人がよく表れている本だと思った。
小説世界とは別の、世界のマイノリティと連帯しようとする『中上健次』という小説家、いやむしろ個人そのものが表れていると思う。
作家はその作品で判断すべきだと思っている。
そういった意味では、これは作品としてはどうなのか、と思ってしまう。
だが、『中上健次』を知ることはできる。
政治、思想的なスタンス、アクチュアルな問題意識、そんな内容である。
作家の余興?そんな風にも思ってしまうが、当然、本人はそう思っていないであろう雰囲気が、何とも痛々しいように思うのだ。