これももう手放してしまった本である。
80年代のニューアカブームも過ぎ去った頃に、フランシス・フクヤマの「歴史の終わり」をネタに、浅田彰の対談を集めた本だったと思う。
でどうだったかというと、世界中が資本主義に覆われるという立場にも与せず、以前のようなテクストの戯れという立場にも立たず、結局はどこにも身の置き場が無い、そんな対談だったと思う。
なぜこの本を思い出したかというと、先日読んだ「文明の衝突」からの連想である。
「文明の衝突」と「歴史の終わり」は、対極にあるような考え方と言えるかもしれない。
だが一方で、両者に同じ匂いを感じる。
所詮は、混乱する世界の外部から、神の視線で眺めているのだ。
民族紛争や共産主義体制の崩壊からは遠く離れた、アメリカからの意見だったろう。
だがそれにも増して、この本の浅田彰や柄谷行人は、そんなアメリカからも遠く離れた日本からの薄気味悪い戯言だったような気がする。
まあ、手元に無いので確かめようも無いのだが。
- 作者: 浅田彰
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1994/02
- メディア: 単行本
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