本との出会いとは不思議なものだと思う。
今まで鬼貫という俳人の名前すら知らなかったのだけれど、この本を読んで気に入ってしまった。
上嶋鬼貫は、1661年に現在の大阪府伊丹市に生まれ、1738年に亡くなった、江戸時代の俳人だそうだ。
東の芭蕉、西の鬼貫と称されるほどの大家らしい。
この本は、上嶋鬼貫の句と、仮想旅行記である「禁足旅記」、そして俳論とも言うべき「独ごと」が収められている。
ちょっとした全集のような趣である。
だからと言って、これが全てではないだろう。
俳句に明るいわけではないけれど、鬼貫の句にはハッとさせられるような鋭い響きのようなものがあると思った。
それは鮮やかなイメージを喚起するものもあり、また言葉遣いに驚かされるものもある。
「禁足旅記」は、親が病気だからと、想像で大阪から東京・日本橋まで句を読みながら旅をする。
どうやら観光名所は押さえているようで、今でも名前は聞く宿場町も多く登場する。
そして「独ごと」は、四季各々の詩情のある光景を記述している。
四季が終わっても、旅やら恋やらと話がずれ出していく。
引用しようかとも思ったが、実際に読んでみた方が良いので、ここでは紹介しない。
- 作者: 上島鬼貫,復本一郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/07/17
- メディア: 文庫
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