私小説というか、狂人をモデルにした独白体の小説、といえばいいのか。
主人公が自殺してしまった友人の話を、友人の兄に語るのが大半で、そこに主人公の独白が交じる。
友人の奇行は、ある種、ユーモラスに描かれるし、主人公の独白は、迷惑だと思っているのか、力になろうと思っているのか、笑おうと思っているのか、心の底が読めない感じがする。
それは読み手の浅はかさなのか、小説の出来なのか、どっちなのか。
ぐだぐだ、だらだらと続いてゆく話は、退屈の極みにも近いが、いつしかに引き込まれてしまう。
だから何だという話ではなく、そのぐだぐだとだらだらと読んでいく読書体験は確かに他に似たようなものはないだろう。
とはいえ、もう一度読むかというと、なんとも言えない。
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