雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

国道の謎/松波成行

バイクでのツーリングの醍醐味の一つに、地図を見ながら走行ルートを考える、というのは含まれていると思う。
だから、出発前に全ルートを決めてしまうのは、席に着いた途端にコース料理を全て食べようとしてしまうようなものだ。
地図を見ながら、迷いながら、それでも走っていくことに、ツーリングの楽しさがあると思う。
この本の著者は、もっとマニアックに「国道」に取り憑かれている。
階段国道、数百メートルしかない日本一短い国道、港国道や海上国道、そして計画のみが残されている点線国道、など、目くるめく国道の世界が繰り広げられている。
だが、ここにあるのはコレクションの収集と披露といった内容に留まらない。
その国道がいかなる経緯で成立しているのか、歴史を遡り、政治や行政や世論の動きを推理してゆく。
ふと、この手法は「考現学」に近いのではないだろうか、と思った。
そして著者は、国道のみならず、道路行政に関する入門書的な位置づけにまで手を伸ばしたかったようだ。
新書ながら、著者の情報収集力や考察の深さに感嘆するのだけれど、やはり地図を見たときの高揚感のようなものが、この著者の根底にもあるような気がしてならない。


国道の謎 (祥伝社新書 160)

国道の謎 (祥伝社新書 160)


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