雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

バナナと日本人/鶴見良行


バナナを通して、フィリピンとアメリカと日本、生産者と地主と多国籍企業、様々な人々の姿、問題を浮き上がらせる。
国際社会における南北問題が単なる不平等貿易の是正に還元されるべき問題ではなく、様々な要因が絡み合ったものであることが判る。
単純化した構図で理解すると、利益を貪る多国籍企業が諸悪の根源である、と決め付けてしまいそうになる。
だが、この本は多国籍企業が進出してきたフィリピンの歴史、農園を経営し続けている背景にも眼を向けさせる。
戦前の日本支配、イスラム少数民族プランテーション経営、スラム化、猛毒の農薬の使用による被害、などなど、歴史的視点、政治的視点、経済的視点、社会学的視点、様々な切り口から、フィリピンの窮状が見えてくる。
それらの問題に対して、今すぐに何か行動する訳ではないが、世の中には知らないよりも知っておいたほうがいいことがあると思うのだ。


バナナと日本人―フィリピン農園と食卓のあいだ (岩波新書)

バナナと日本人―フィリピン農園と食卓のあいだ (岩波新書)