昔読んだ伊藤比呂美の詩は苦手だった。
苦手だったのに、この本はなぜか手放せないで、本棚の片隅にある。
(あんなに夢中になって読んだモーパッサンはあっさりと手放したのに、である)
久しぶりに手にとってみた。
あけすけに語られる性的なこと、猫、アレチノギク、死体…
それらの言葉たちが選ばれ連なる。
選ばれ方、連なり方は、詩人の感覚だろうか。
何が苦手なのかは判らない。
だけど、読むのを止めて本を閉じてしまいたい気持ちがあるのに、読み続けてしまう。
そして、何かを語りたくなる。
何かを語りたい訳ではなく、語ることを刺激されている。
だから、この詩集はやっぱり苦手だが、たぶん残しておくだろう。
そしていつの日かまた読むような気がした。
これはそういう詩集なのだと思う。
- 作者: 伊藤比呂美
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1988/08
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (4件) を見る