雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

東京飄然/町田康、鬼海弘雄

町田康氏は、確か「夫婦茶碗」を読んだのだけれど、ピンと来なかったと思う。
だが今回読んでみようと思ったのは、鬼海弘雄氏の写真が併せて収められていたからというのもある。
また、東京をぶらぶらと彷徨うような内容に思えたので、図書館で借りてみることにした。
なるほど当たらずとも遠からじ。
東京を彷徨い独特の口調で語ってゆく。
とは言っても、ありがちな名所案内や薀蓄語りにならないどころか、ちょっとクスッとする箇所もあり、小説よりは読める。
そのうち何か、この感じに覚えがあると気づいて、何のことかと思い出してみた。
椎名誠の、国分寺のオババシリーズの、語り口のような気がした。
確か、中学生の頃に読んだ気がする。
とはいえ、それっきり読み返した記憶もないので、自信が無い。
作者の町田康氏は大阪出身とのこと。(この本で、大阪を訪れる章もある)
東京を語るには、東京以外の人間の方が、上手いような気がした。
変な、江戸情緒の強調だとか、下町への手放しの礼賛、古き良き東京への郷愁など、微塵も無いのが心地よい。

東京飄然 (中公文庫)

東京飄然 (中公文庫)