写真について読むべき批評は、ロラン・バルト「明るい部屋」とスーザン・ソンタグ「写真論」と知っていたのに、ソンタグを読んでいなかったのは、しばらく手に入らなかったのと、ちょっと距離を置いていた、というか、ちゃんと読めていなかったからだ。
それが再読しようと思ったのは、「他者の苦痛へのまなざし」を読んで感銘を受けたからだ。
それで写真論を読まねばと思いつつ、いざ本屋に行ってみると在庫が無かったり、最後の1冊でカバーが撚れていたりと、なかなか手に入らなかった。
ようやく手に入れて読むのも惜しく、ちびちび読んでいたのだがようやく読み終えた。
直観に違わずこれは読むべき本だった。
写真に関するエッセーから始まったと、ソンタグ自身が書いているが、一貫したテーマは写真とは何であるか、という問いだけであるように思った。
だがそれ故に、様々な角度から考察がされる。
その中でも気になったのは、シュルレアリスム運動のうち最も成功したのは写真である、という考察だった。
確かに、コントロールしえない偶然や、意外なものを対比させるには写真はとても効果的だろう。
だが視覚に訴えることの陥穽もまた考察される。
写真は真実を写しているというドグマについても語られる。
この本に書かれている写真についての考察は出発点であり、より深く考えてみるきっかけになりそうだと思った。