雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

ホーキング、宇宙を語る/スティーヴン・ホーキング


わからないということ

ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)

ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)


相対性理論量子力学に基づいた宇宙の起源とブラックホールについて語って、ちょっとだけ、弦理論にも触れている本。
かなり難解な理論を扱っているが、そのポイントを完結に平明に説いている点で、ホーキングの手際のよさが伺える。
例えば、ニュートン力学では絶対空間が否定され、相対性理論では絶対時間が否定されたとか。
量子力学の前提となっているのは、不確定性原理であり、ある時空間から次の時空間へ至る道筋は一つではない(確定できない)とか。
その辺りの理論だけでも、かなりのボリュームだが、それ以降にもスリリングなキーワードがちりばめられている。
例えば、虚数を基にした虚時間の考えとか、無矛盾の宇宙観は16次元だとか(記憶なのでもっと多かったかも・・・)
更には、思考できないことを思考しているのは何故か?という問題に突き当たっている。
宇宙の起源がわからないということ、ブラックホールの正体がわからないということ、それは相対性理論特異点であるが、それを打ち破っていく量子力学を敷衍していく中で、弦理論(おそらく、ひも理論の前提か?)にも言及していくが、それは検証できない理論であるという。
特異点における振る舞いを観測出来ない以上、理論的な正しさを追求するしかないという。
それはわかったことになるのか?わからないということがわからないのか?
現代物理学が哲学に接続されている。