何となく借りてみたもう一冊。
確か劇団を主宰している方じゃなかったかと記憶しているが、舞台演劇は苦手なのでよく知らない。
4篇の短編小説が収録されている。
何だか気味の悪いような物語だが、言い得て妙な部分もあるなと思った。
表題作「異類婚姻譚」「藁の夫」は夫婦関係というもの、「トモ子のバウムクーヘン」は家族というものに紛れ込む違和感なのだと思う。
描かれる物語の根底に違和感があり、その表現として不気味なものが描かれるが、山芍薬だったり、小さな楽器だったりと、何かかわいらしいモノが登場するのは独特だと思った。
「<犬たち>」は他の三篇と異なり、硬質な寓話のような手触りがする美しい一篇だと思った。
山小屋、白い犬たち、凍った湖、麓の町、完璧に近いように思う。
内容は全く異なるけれど、三島由紀夫の短篇「仲間」を思い出した。
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