雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2012-01-01から1年間の記事一覧

虐殺器官/伊藤計劃

気になっているのに、手を出さない本がある。 なぜ手を出さないのかは、自分でもよく判っていない。 この本もまたそうだ。 何年も前から知っていて、評判もすごく良いのを知っていたのだけれど、手を出さないでいた。 図書館で見かけて、借りてみようと思っ…

ハメルンの笛ふき/ロバート・ブラウニング、ケート・グリーナウェイ、矢川澄子

図書館に寄ったついでに、娘のために絵本を借りてみる。 「ハーメルンの笛吹き男」と言えば阿部謹也の名著なのだけれど、そういえば原本を読んだ記憶が無い。 いまさら話の筋を書くことも無いのだけれど、笛の音につられて子供達がさらわれてしまう不気味さ…

蛇を踏む/川上弘美

なかなか良いタイトルだと思う。 図書館の棚を眺めていて、つい手が伸びてしまった。 なので、著者については、表紙の裏に書かれていたこと以外、何も知らない。 その本を何の先入観も無しに読むことができるというのは、ある種の幸せではないだろうか。 素…

かむなぎうた/日影丈吉

日影丈吉を知ったのは、恐らく夢野久作辺りから辿りついたのだろう。 いずれにしても、探偵小説(あるいは、ミステリー?)は、あまり馴染みの無い分野だ。 だが、日影丈吉の描く世界は、江戸川乱歩や吉田健一の描く、昔の東京の風景に繋がっていると思った…

トンデモ一行知識の世界/唐沢俊一

軽めの本が読みたくなり、ふと読み返してみた。 いわゆる、薀蓄だったり、トリビアだったり。 その内容自体がどうということも無く、淡々と読み終える。 『ト』的なるものを面白がる気にもなれない。 どうやら疲れているようだ。 別の本を読みたくなる。 だ…

テロルの現象学/笠井潔

笠井潔氏の最初の評論である。 なぜ人は観念的なるものに支配されてしまうのか、を現象学的に、あるいはヘーゲル現象学のパロディとして展開している。 引用される文章も、吉本隆明、高橋和巳、埴谷雄高、ドストエフスキー、バタイユ、ヘーゲル、エリアーデ…

キリコのコリクツ/玖保キリコ

本本堂から出ていた5冊のうち、最後に刊行されたっぽいのが、この本である。 当時は、「シニカル・ヒステリー・アワー」を読んでいたので、買ったのだろう。 ちょっと変わった視線で日常を捉える、といった感じ。 特筆すべきは、坂本龍一、矢野顕子、玖保キ…

長電話/高橋悠治+坂本龍一

奥付を見ると1984年に出版されたようだ。 いまさら、この二人について解説する必要も無いだろう。 そして内容も、ただこの二人が電話で雑談しているだけである。 むしろ、坂本氏の個人出版社「本本堂」の刊行物としての価値があるかもしれない。 Wikiによる…

星の王子さま/サン=テグジュペリ

一体どんな気持ちでこの本を買ったのか覚えていない。 既にこの本に心を動かされるような年代は過ぎたと言うのに、この本を手にとってしまった。 その時一回読んだきりで、本棚の隅に置かれている。 なので、改めて読んでみたのだけれど、一体どんな顔で感想…

本と逃亡犯

つい先日、一連のオウム真理教事件の特別指名手配犯がマンガ喫茶で逮捕され、その所持品から教団関係の本が10数冊見つかったという。 ニュースでは、未だ教団への帰依を表すものとして捜査している、と報じていた。 その後のニュースを丁寧に追いかけてはい…

インターネットで古本屋さんやろうよ!/芳賀健治

いささか思うところがあって、この本を読んでみた。 少しだけ元気をもらった気がする。インターネットで古本屋さんやろうよ!作者: 芳賀健治出版社/メーカー: 大和書房発売日: 2003/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 26回この商品を含むブログ (20件) …

新しい天体/開高健

関西弁で言う「けったいな」という形容詞のニュアンスは判らない。 だが、この本は、誰も居ないはずのトイレのドアをノックしたら、返事があった、という話と競るほどの、けったいな話、であるらしい。 主人公は省庁の予算確保のため日本中の美味を堪能する…

ことばあそびうた また/谷川俊太郎

娘の反応が面白かったので、続編も借りてみた。 だが、いまひとつ反応が悪い。 大人目線では、本編よりこちらのほうが、詩的なのだけれど。 娘の中で、どこに基準があるのか、いまひとつ判らない。 ことばあそびうた (また) (日本傑作絵本シリーズ)作者: 谷…

食の王様/開高健

開高健のもうひとつのよく語られる切り口は、食べ物に関するエッセイの上手さ、というイメージがある。 なので、そのまんまのタイトルの本があったので借りてみた。 しかし、いきなり人肉嗜食の話から始まり、ゲテモノ食いの話も出てくる。 これはちょっと外…

モンゴル大紀行/開高健、高橋昇

初めて開高健を読むのだけれど、どうやらドキュメンタリー番組を本にしたものらしい。 何と言うか、入り方が邪道で、つくづく王道から縁遠いのは、自分の性格だろうか。 ともあれ、モンゴルにチンギス・ハーンの墓陵を調査し、120cm超のイトウを釣りに行く。…

夫婦茶碗/町田康

確か買ったような記憶があるのだけれど、手元に無いので処分してしまったのかもしれない。 図書館で目に留まったので借りてみた。 (この前に読んだ、松尾スズキ同様で、共に「ま」の棚である) 町田康というよりは、町田町蔵なのだけれど、それはこの本とは…

クワイエットルームにようこそ/松尾スズキ

著者も知らないし、映画になっていたことも知らなかった。 世間の話題に疎くなっているようだ。 何となく図書館で、一番上の棚にあって、手にとった。 フリーライターの主人公が、恋人と喧嘩の果てに、オーバードーズで救急車で運ばれる。 主人公は精神科病…

ヨーロッパの乳房/澁澤龍彦

澁澤龍彦の本は処分してしまうのだけれど、この一冊が気になったので、ちょっと読んでみた。 その人にとっての旅が何であるか、その問いもまたその人をよく表す一面なのではないかと思う。 澁澤龍彦にとっての旅とは、再確認であるかのようだ。 恐らく旅行中…

どくろ杯/金子光晴

ちょっと気になって確認したら、「どくろ杯」について感想を書いていなかったようなので、読み返してみる。 改めて言うまでも無いだろうが、金子光晴の自伝三部作の第一作目である。 関東大震災後の東京で、若者たちはアナーキズムかコミュニズムにかぶれ、…

不思議図書館/寺山修司

最初に読んだ寺山修司は、この本か、あるいは、「棺桶島を記述する試み」だったと思う。 この本は、その頃に住んでいた家の近所の、小さな町の本屋さんで買ったと記憶している。 奥付を見ると初版なので、新刊として置いてあったのだろうか。 この本は、寺山…

サイバー攻撃からあなたの会社を守る方法/藤原礼征

いただきもの。 ネットワークセキュリティ、情報セキュリティ、サイバーセキュリティと、似て非なる概念を平明に説明している。 昨今の情報漏洩事件やサイバー攻撃事件なども解説されており、サイバー攻撃に関する入門書として、とても判りやすく書かれてい…

トップMBAの必読文献−ビジネススクールの使用テキスト500冊/グローバルタスクフォース(株)

たまには勉強しようと借りてみたものの… 飽きた… 興味がないことに対して、こんなにも集中しない自分に呆れる。 トップMBAの必読文献―ビジネススクールの使用テキスト500冊作者: グローバルタスクフォース出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2009/11/06…

管理者になった人が最初に読む本/門脇竜一

何となく図書館で借りてみた。 なるほどと思う箇所もあるのだけれど、期待したほどではなかった。 むしろ、読ませたい人は何人かいるのだけれど。 管理者になった人が最初に読む本作者: 門脇竜一出版社/メーカー: 総合法令出版発売日: 2007/03メディア: 単行…

完本 酔郷譚/倉橋由美子

久しぶりに立ち寄った本屋で見かけたが、一週間ほど悩んで購入。 新刊を買うのも久しいが、倉橋由美子を読むのも久しい。 どうやら晩年の頃の作品らしく、「入江さん」から展開されるキャラクターシステムが登場する。 主人公は、「入江さん」の孫にあたる「…

日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ/森下典子

何だか何を読みたいのかよく判らない日々だ。 ビジネス書や哲学書を読みかけては止めて、読み通せずにしまってしまう。 久しぶりにこの本を引っ張り出して読んでみる。 著者については全く知らない。 この本に書かれているのは、茶道を通して発見した気づき…

子どもが育つ魔法の言葉/ドロシー・ロー・ノルト、レイチャル・ハリス

家に置いてあったので、読んでみた。 なるほどと思う。 子どもが育つ魔法の言葉作者: ドロシー・ローノルト,レイチャルハリス,Dorothy Law Nolte,Rachel Harris,石井千春出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 1999/09メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を…

人魚の嘆き・魔術師/谷崎潤一郎

処分しようと思っていたのだけれど、ふと思い立って読み返してみる。 なるほどこれは傑作かもしれない。 「人魚の嘆き」は、清朝の南京を舞台にした、手に入れられるものは全て手に入れ、現実に倦んでいる富豪が和蘭人から人魚を買い受ける。 その人魚の嘆き…

三島由紀夫おぼえがき/澁澤龍彦

ふと思い立って、読みかえした。 結局のところ、高校生の自分は、澁澤龍彦経由で三島由紀夫を理解していたのではないか、と思った。 逆を返せば、澁澤龍彦を経由しないでは、三島由紀夫に興味は持たなかった、ということかもしれない。 いささかセンチメンタ…

Requiem for books

諸事情により、以下の著者の本を、手放すことにした。 アーサー・ケストラー、阿刀田高、池澤夏樹、池田満寿夫、大江健三郎、カルロス・カスタネダ、久生十蘭、さくらももこ、澁澤龍彦、ジャン・ジュネ、田口ランディ、太宰治、谷崎潤一郎、チャールズ・ブコ…

手にとるように株・証券がわかる本/株式フォーラム21

知識の再確認のために読む。 知っているつもりでも、説明しようとすると、上手く説明できないこともあるものだ。 だが、読んだからといって、突然、説明が上手くなるものでもない。 たまにはこういう本も読まないと、古い箪笥の引き出しが開け辛いように、知…