雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2012-01-01から1年間の記事一覧

裏読み「会社四季報」/秋津学

たまにはこんな本も読んでみる。 情報の量でも質でもなく、その使い方が重要なのだ、という当たり前のテーゼを確認したのだった。 この本がそういう本だと言うことではない。 裏読み「会社四季報」 (角川oneテーマ21)作者: 秋津学出版社/メーカー: 角川書店…

エスプレッソ・カルチャー&キュイジーヌ/カール・ペッキイ+サラ・スレイヴン

いつ買った本だろうか。 奥付を見ると、1995年7月1日初版とあるが、果たして出版されてすぐ買ったのかどうかは定かではない。 エスプレッソを巡るエッセイと、エスプレッソを使った幾つかのレシピが、お洒落な雰囲気の写真と共に紹介されている。 ともあれ、…

ことばあそびうた/谷川俊太郎

以前からちょっと気になっていたので、図書館で借りてみた。 自分自身は谷川俊太郎の詩は、判るようで判っていない気がする。 ハッとするような言葉があったり、よく判らなかったり。 なので、ちょっと、娘がどんな反応をするのか見てみたかった。 さっそく…

幻影の書/ポール・オースター

どうやら半年前に出ていたようなのだけれど、見逃していたのだろうか。 久しぶりに、ポール・オースターを読んでみる。 敢えてつまらなく言うなら、人生のどん底を彷徨うことになった主人公が、運命的な女性と出会い、救われもするのだけれど、その女性を失…

作家の誕生/猪瀬直樹

新書ながら読み応えのある一冊だった。 明治時代における雑誌の誕生から、文壇の形成、そしてタイトルの通り、「作家」という職業の確立を丹念に追っていく。 文学史でもなく、出版史でもなく、だが、それらを包括する、日本近代史の姿が見えてくる。 それは…

UFOとポストモダン/木原善彦

図書館にふらりと立ち寄って、ちょっと目に留まったので借りてみた。 UFO目撃譚に代表される「UFO神話」なるものを、近代からポストモダンの文脈で捉える、といった本だろう。 第二次世界大戦後から1973年までの「前期UFO神話」時代、1973年から1995年の「後…

東京の島/斎藤潤

たしか記憶では、東京都の小学校の社会科の授業は、3年生で区、4年生で都、5年生で日本、6年生で世界を習ったのだと思う。 なので、東京都の島嶼部を知ったのは、恐らく小学校4年生の頃だったのではなかろうか。 叔父さんから貰った道路地図では、伊豆七島ぐ…

”全身漫画”家/江川達也、鈴木隆祐

そういえば、マンガ雑誌を買わなくなって、どれぐらい経つだろうか。 本屋に立ち寄っても、コミックコーナーには行かないようにもなった。 江川達也氏について今更、説明する必要もないだろうから省略しよう。 この本は、鈴木氏のインタビューによって、江川…

幽界森娘異聞/笙野頼子

これは何の本かと言われても上手く説明できない。 物語かというと、そうではないのだけれど、では、詩歌なのかといえば、それは違うと言いきれるのだけれど、では随筆かというと、そのようでもあり、そうでは無いようでもある。 だいたい作者が、フィクショ…

インド夜想曲/アントニオ・タブッキ

3月25日に、アントニオ・タブッキが亡くなった。 というのを今日知った。 追悼の意を籠めて、タブッキの作品に触れるきっかけとなった、「インド夜想曲」を読み返した。 静かな抒情と、謎めいたストーリー、何かしらを秘めているようなエピソード、だが、細…

忌中/車谷長吉

何か読みたくて、図書館の棚を眺めていて、再び車谷長吉氏に眼が止まった。 この本は何と言えば良いだろうか。 死を扱っているようだが、そうとも言い切れない。 解説にあるように、「純愛」を扱っているようでもあり、それだけでもない。 この本で取り上げ…

墨攻/酒見賢一

何となく時代小説が苦手だ。 歴史にあまり興味がないので、その面白さは判らないだろうと思っていた。 だが、この本は何となく気になっていたので、図書館で借りてみることにした。 そして読んでみると、みるみる引き込まれてしまった。 舞台は戦国時代の中…

琉球弧の喚起力と南島論/吉本隆明、赤坂憲雄、上原生男、比嘉政夫、嵩元政秀、渡名喜明、高良勉

1988年12月2日に那覇にて開かれたシンポジウムの記録を中心に、吉本隆明氏の新たな「南島論」をキーにとした各氏の考察を含めてまとめられた本である。 その南島論は、国家を越えるべき論理として構想している。 同時期に吉本氏が展開していた都市論、つまり…

街のはなし/吉村昭

筆者の吉村昭氏については、全く知らない。 図書館で何となく手にとって、少し拾い読みをして借りてみた。 こうして随筆を続けざまに読み比べてみると、その人の素養の違いが気になってしまう。 この本の場合、どうにも吉村氏の決めつけのようなものが、気に…

夕顔/白洲正子

実は、白洲正子氏の本を読むのは、これが初めてである。 いままで、何となく敬遠していたのだ。 だが、読んでみると、普通な感じがした。 それは、今まで接していただいていた、年配の方々の感覚に近い。 その口がさの無い言い方や、物の見方は、身の回りに…

使いみちのない風景/村上春樹、稲越功一

村上春樹氏の短いエッセイが3篇と、稲越功一氏の写真58点による本である。 恐らくエッセイが先にあって、写真を選んだのだろうと思う。 もちろん、エッセイを説明するような写真ではない。 だが、このように構成してしまうと、エッセイに対して写真は説明的…

東京居酒屋探訪/大道珠貴

何となく随筆が読みたくなって、図書館で何冊か借りたうちの一冊。 筆者の大道氏については何も知らない。 「居酒屋」と言いつつ、イタリア料理やフランス料理の店にも訪れているが、そんなことは大したことではない。 店の紹介かというと、そういった面も無…

吉本隆明初期詩集

吉本隆明氏が亡くなった。 追悼の意味も込めて、この本を読みかえす。 ここには瑞々しい詩人の孤独の言葉がある。 だが今日は、あまり感想を吐かずに、読むだけにしようと思う。 吉本隆明初期詩集 (講談社文芸文庫)作者: 吉本隆明出版社/メーカー: 講談社発…

塩壷の匙/車谷長吉(塩壷は旧字体で表記)

好きか嫌いかと言う前に、読み耽ってしまう小説というのがある。 それは、まさに文章の力なのだと思う。 新潮文庫の奥付の前、初出一覧の後辺りにある、数行の解説でこの本を見つけた。 そこに書かれていた「私小説という悪事」というフレーズに惹かれたよう…

「水」戦争の世紀/モード・バーロウ、トニー・クラーク

読み方を誤ってしまい、何だか苛々させられた。 何らかの思想を持って語られるのかと思って読んでいると、なかなかそこにはたどり着けない。 例えば、主張のこんなところが目に付いてしまう。 ・条件に合う事例だけを紹介する、合わない事例は出さない ・所…

人生の短さについて/セネカ

セネカはローマ時代の哲学者。 この本には、「人生の短さについて」「心の平静について」「幸福な人生について」の3篇が収められている。 乱暴にまとめてしまえば、他人に振り回され自分自身に配慮しない人生は短く感じるということ、善きことに自信を持っ…

ある漂流者のはなし/吉岡忍

小さな漁船で漁に出て、船が故障してしまい、そのまま37日間も漂流し、生還した武智三繁さんへのインタビューによる本。 といっても、武智さんの話をただ再構成し、纏めたという内容ではない。 著者の吉岡忍氏は、武智さんの生い立ちに遡り、武智さんという…

人のセックスを笑うな/山崎ナオコーラ

どんな著者かも知らずに、読み始めて思ったのは、これは少女漫画のような小説だ、ということだった。 私自身は少女漫画を語れるほどに詳しくは無い。 だが、恋愛をテーマとしてそこにファンタジーを見出すのは、少女漫画的なセンスに近いと思った。 そして、…

第三阿房列車/内田百けん

何となく落ち着かなくて、気忙しい毎日が続くと、百鬼園先生に手が伸びてしまう。 一気に読んでしまうのが惜しくて、未読で取っておいた阿房列車シリーズの三巻目である。 内容はもう今更説明する必要も無いのだが、目的もなく旅に出る随筆、とでも言ってお…

イスラーム文化/井筒俊彦

井筒俊彦氏は東洋学の大家であり、恥ずかしながら「意識と本質」は未だ読み通せずに、本棚の片隅に置いてある。 また、井筒氏はユングが主催していた「エラノス会議」に招聘された、数少ない日本人の一人であり、毎年のように、東洋文化について講演されてい…

日本ぶらりぶらり/山下清

いまさら山下清氏について、説明する必要も無いだろう。 この本は、山下清氏が自身の放浪の思い出を綴った本のようだ。 本文に度々登場する「式場先生」とは、精神科医の式場隆三郎氏であろう。 それにしても、山下氏の語り口は不思議だ。 何かについて語っ…

人権と国家/スラヴォイ・ジジェク

ジジェクを知ったのは、90年代後半の頃だろうか。 確かボスニア紛争の後だったように記憶している。 ラカンやヘーゲルを多用しつつ、時事問題や文化領域に切り込んでいく、ちょっと読みづらい文章だったと思う。 この本は、岡崎玲子氏によるインタビューと、…

僕が2ちゃんねるを捨てた理由/ひろゆき(西村博之)

図書館で背表紙が他の新書と色が違っていたので手に取った。 さしたる興味も無く、ただ読んでみる。 そして、感想も感慨も無く、今困っている。 僕が2ちゃんねるを捨てた理由 (扶桑社新書 54)作者: ひろゆき出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2009/05/29メディ…

田舎暮らしができる人できない人/玉村豊男

たまにはこんな本も読んでみる。 仕事に疲れているようだ。 田舎暮らしができる人 できない人 (集英社新書)作者: 玉村豊男出版社/メーカー: 集英社発売日: 2007/04メディア: 新書購入: 1人 クリック: 49回この商品を含むブログ (18件) を見る

対訳 ポー詩集/エドガー・アラン・ポー

できれば詩はその書かれた言語で読みたい。 そうすると必然的に、日本の詩か、ちょっと背伸びして英米の詩か、ということになってしまう。 はるか昔に、洋書のペーパーバックではないが、ポーの詩集を持っていた気がする。 だが、現在の本棚に無いので、引越…