雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2014-01-01から1年間の記事一覧

三島由紀夫レター教室/三島由紀夫

この本もまた図書館で借りた。 5人の登場人物たちがやり取りする手紙で構成された小説である。 いかにも判りやすいように人物設定されており、また話の筋が判りにくいという事もない。 二組のカップルを巡るスラップスティックであり、残る一人は狂言回しと…

怖い俳句/倉阪鬼一郎

この本もまた図書館で借りた。 書架を眺めていて、ちょっと気になったので手に取ってみた。 俳句自体は短歌よりも親しみがあるのだけれど、同時代の俳人も良く知らないし、そもそも素養が足りないと言うべきだろう。 この本は、「怖い」というキーワードを軸…

キュレーション 知と感性を揺さぶる力/長谷川祐子

この本もまた図書館で借りた。 キュレーション(もしくは、キュレーター)という言葉を知ったのは、90年代だったろうか。 或いは、村上隆や奈良美智を知った頃、いやそれも90年代だったはずだ。 ともあれ、現代美術においてキュレーションは切っても切れない…

東京焼盡/内田百けん

この本は、内田百けんによる、昭和19年11月1日から昭和20年8月21日までの日記だ。 改めて読み返してみると、簡潔な文章ながら、とても生々しい。 東京の街の上空に、アメリカの爆撃機が飛来し、焼夷弾を落としてゆく。 あちらこちらから、爆撃音と火の手が上…

悲劇の誕生/フリードリッヒ・ニーチェ

ニーチェを読み返すのは久しぶりだ。 この本で古代ギリシアにおける、アポロ的なるものとディオニュソス的なるものの対立を論及していたと記憶していた。 読み返してみると、ギリシア悲劇における没落と喜劇への転換点をエウリーピデースに見出している。 そ…

バッカイ バッコスに憑かれた女たち/エウリーピデース

この本もまた図書館で借りた。 ポンペイ遺跡にあるディオニューソス秘儀の壁画を知ったのは、高校生ぐらいだったろうか。 真っ赤な背景に、倒れこんでいる鞭打たれる女性と、その傍らで全裸で踊る女性の場面に、何かしら官能的なものを嗅ぎ取っていたように…

英語だけできる残念な人々/宋文洲

この本もまた図書館で借りた。 宋文洲氏のサイトは時々、チェックしている。 この本はビジネスのグローバル化とは何かについての、軽めのエッセイといったところだ。 英語が話せるかどうかではなく、グローバルな仕事をするためには人間として何が必要か、と…

時間と自己/木村敏

この本を読んだのは、いつのことだったのか、もう憶えていない。 ともあれ、自分のことが気になってしようがない、10代後半の頃にちがいない。 この本は、精神医学の観点からの時間論であり、意識論であろう。 時間という存在を、もの的に捉えることから、こ…

君に友だちはいらない/瀧本哲史

上司に薦められて読んでみる。 そういう本との出会いもまたある。 この本がどういう本であるかは、説明しない。 まとめが読みたければ、数多くのレビューや、NAVERでも眺めたほうがいいだろう。 一つだけ書くとしたら、多様性についてだ。 一つの目的に向か…

ひきこもれ/吉本隆明

45年ぶりの大雪だったのだとか。 朝から雪かきで疲れたので、午後は家の中でちょっとした合間に読書。 この本は晩年の吉本隆明氏の著作である。 著作というより、インタビューをまとめたものらしい。 「ひきこもり」に対する吉本氏の考えは、二つの方向に向…

春の雪 豊饒の海・第一巻/三島由紀夫

東京に大雪が降ったことと、この本を読み終えたことは何の符牒だろうか。 いや何の符牒でもない。 久しぶりに読み返してみて、実にあざとい物語だ、と思った。 いまさら言うまでもないことだが、どうしても言いたくなるぐらいだ。 「豊饒の海」と題した連作…

箱男/安部公房

久しぶりに「箱男」を読み返してみる。 今更、荒筋なんて何の意味も無いだろう。 むしろこの物語は荒筋を語ったところで何の意味もない、と言うべきかもしれない。 いくつかのテーマがそれぞれに展開される。 まずは、見ることをめぐって書かれた物語だとい…

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン/カーマイン・ガロ

この本もまた図書館で借りた。 ちょっとAPPLEづいている。 というか、スティーブ・ジョブズづいていると言うべきか。 その興味は、それほどまでに賞賛されるのは何故だろうか、という興味だ。 この本は、スティーブ・ジョブズのプレゼンテクニックを解説して…

現代アジア論の名著/長崎暢子・山内昌之 編

この本もまた図書館で借りてみた。 自分の中でのアジアと思っているものが、実際の地域の話ではなく、どのような捕らえ方をしているのか、相対的な位置づけを考えようかと読んでみることにした。 それは、マルクス(というか、むしろエンゲルスだろうか)が…

コーチングの神様が教える「できる人」の法則/マーシャル・ゴールドスミス、マーク・ライター

図書館で借りてみた。 というか、ビジネス書のタイトルというものは、なぜこうも馬鹿っぽいのか。 それとも、えげつないぐらいに徹さないと、手にも取ってもらえないとでも思っているのだろうか。 この本も、別のところで書評を読んでいなかったら、手を出そ…

Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学/ケン・シーガル

この本もまた図書館で借りた。 たまにはビジネス書も読む。 スティーブ・ジョブズのエピソード集であり、彼がいかにシンプルであることにこだわっていたのか、という評伝とも言えるだろう。 なかなか面白いのだが、APPLE製品は何一つ持っていないので、どう…

異郷の昭和文学/川村湊

この本もまた、図書館で借りた。 川村湊氏は、以前に「満洲鉄道まぼろし旅行」を読んだぐらいなのだが、この本もまた満洲がテーマである。 言うまでもないが、満州国に対するノスタルジーや賛美という論調ではない。 昭和時代の文学史において満洲という存在…

本は、これから/池澤夏樹 編

これもまた、図書館で借りた。 紙の書籍と電子書籍が今後どうなるか、というテーマについて37人のエッセイである。 肯定派、否定派、楽観論、悲観論、様々な立場の様々な意見の寄せ集めである。 書籍とは何か、ということは、それぞれであるということが判る…

米ハフィントン・ポストの衝撃/牧野洋

図書館で借りてみた。 ハフィントン・ポストはスマホで結構、読んでいる。 あまり大きな声では言えないが、会社のメールソフトにRSSリーダーが組み込まれているので、ヘッドラインもRSSでチェックしている。 この本は、新聞業界とネットニュースメディアとい…

漢字/白川静

懸賞で貰ったQUOカードが余っていたので、買ってみた。 2014年にはじめて買う本が白川静氏となり、ちょっと幸先が良さそうだ。 何の根拠もないが。 さて、この本の内容はというと、白川漢字学のエッセンスである。 岩波新書という、ある種のフォーマットの中…

父の詫び状/向田邦子

年末年始で図書館が休館中。 かといって、これといって読みたい本も見つからず。 家人の蔵書に手を出してみた。 とはいえ、向田邦子氏が脚本家であることぐらいしか知らない。 小学生の頃、NHKのTVドラマで「阿修羅のごとく」を観ていたのだが、それが向田邦…

福島第一原発観光地化計画

正月に読む本としては、いささか重たいテーマなのだが、だいぶ前に買っていて、通勤中に読めないものだから、ちまちま読んでいるうちに、たまたま読み終えたのが今日だったというだけである。 この本は、ダークツーリズムをその主題としており、原発に対する…