2013-01-01から1年間の記事一覧
何度か読みかけては止めていたのだけれど、ようやく読み終えることが出来た。 古代ローマの小説なのだけれど、一言で言うならスラップスティックだと思った。 特に「トリマルキオンの饗宴」の章は圧巻だ。 奇想天外な料理の数々と、狂騒的な台詞回しは、冷静…
生活の合間に読んでいた。 つくづく、詩というものは不思議なものだなと思う。 ほんの数行で、心を揺り動かすことが出来る。 物語だったらセンテンスを重ねて、状況を作り上げて、物語を進めていくことが、詩ならば数行だ。 経済の効率性の話じゃない。 言葉…
以前、ぼうふら漂遊日記で紹介されていた星野博美氏の本を見つけたので買ってみた。 確かに面白い。 読み終えるのが惜しい本だった。 そして、ほぼ同年代だった。(私が数年下っぽい) 今のこの世界に対する違和感だとか、その一方で「私は世界に加担してい…
今まで、小林一茶のことは避けてきた。 代表作として知られている 「やれ打つな蝿が手をすり足をする」 「やせ蛙まけるな一茶これにあり」 といった句が、好きではないからだ。 そこには洗練さというよりは滑稽味に俳諧として本意があるのだろうけれど、それ…
ふと、仕事帰りに高校の最寄り駅で途中下車してみた。 固有名詞は本題と関係ないので、伏せておくこととしよう。 高校生の頃、よく使っていた本屋に行ってみた。 地元の本屋にない、岩波文庫や国民文庫が並んでいたのを記憶している。 だが、売り場は当時の…
これもまた、古本屋で衝動買い。 翻訳が吉田健一だったので、どんなものかと買ってみた。 リンドバーグ夫妻のことを知らなくても、何をか期待してしまうのは已むを得ないだろう。 この本は、浜辺の貝殻に事寄せて、女性の生き方を語るといった内容だ。 それ…
古本屋で見つけた。 晩年の吉本隆明氏へのインタビューを基にまとめた本である。 思えば、吉本氏の新たな本を読むのも久しぶりだ。 およそ1990年代後半以降、吉本氏の本から意識的に遠ざかっていた。 それは、その思想の如何に関わらず、一人の思想家の言葉…
確か前にも読んだ気がするのだけれど、改めて岩波文庫版で読んでみる。 それにしても、最近の岩波文庫への偏重は如何ともしがたい。 読むに値する古典は岩波にしかない、と嘯いてみたって、読みの浅さでお里が知れるというものだから、単に想像力と意欲の欠…
ふらっと立ち寄った古本屋で、105円で買った。 もともと競馬には興味が無い。 だが、寺山修司の筆致によって、そこに何かがあるような気にさせる。 たかが馬の競走、ということではなく、だが、データに基づいた予想ゲームということでもなく、人生の悲哀を…
この本を読むのも、もう何度目だろうか。 やはり、表題作「砂の本」は素晴らしい。 二度と同じページを開くことの出来ない本、という眩暈のような無限のイメージが好きだ。 「バベルの図書館」のヴァリエーションには違いないが、一冊の本に無限が詰まってい…
本棚を片付けていて、何気なく手にとって見入ってしまった。 赤瀬川原平氏の写真は、アマチュアとプロの間で、芸術と超芸術の間にあるようだ。 いわゆる散歩写真とも言えるのだけれど、そうとも言い切れない何かが写っている。 トマソン物件だけでない、芸術…
久しぶりに引っ張り出して読んでみる。 高橋睦郎の詩に出会ったのは、高校生の頃に読んでいた「ユリイカ」だったはずだ。 或いは、澁澤龍彦経由だろうか。 ともあれ、その世界に引き込まれたのだと思う。 十代後半に詩集を読んでいる男なんて、甚だしい時代…
前にも読んだが、気になって買い直して、読み返してみた。 だが、どうにも違和感がある。 沈思黙考し、死を想い、何物にも心を乱されない境地に至れ、と言っているようなのだ。 が、そのように生活できるのは、限られた境遇の人々なのではないだろうか。 も…
以前から気になっていたのだが、なかなか手が出せないでいた一冊。 江戸時代の俳人である横井也有による随筆といったものか。 もっとも、本人は出版するつもりがあったのかなかったのか判らないが、埋もれていたのを大田南畝が発掘し出版したものだという。 …
これもまた図書館で借りてみた。 サービスを提供するためのマーケティングとはどうあるべきかということが気になっていたのだが、この本では明確には答えは得られなかった。 もっとも、本に書いてあるような答えなんて、たかが知れているのかもしれない。 も…
仕事上の必要があって図書館で借りてみた。 この本は、事例もあって判りやすかった。 マーケティング理論について何かを語れるほど理解しているわけではないが、少なくとも言えるのは、何かを売るという行為において、顧客視点での戦略が必要だということな…
仕事上での必要があって、図書館で借りて読んでみたのだが、素人がいきなり手を出す本ではなかった。 現代マーケティング論 (有斐閣アルマ)作者: 高嶋克義,桑原秀史出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2008/03/13メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商…
最近、茶道が気になる。 自分で始めようという気はさらさら無い。 だが、心を落ち着かせて、お茶を飲むという行為に惹かれている気がする。 美味しいお茶が飲みたいというのもある。 中国では投資対象としての烏龍茶が高騰していると、何ヶ月か前のニュース…
何となく図書館で借りてみた。 筆者は永井荷風の「墨東綺譚」の挿絵で有名だそうだ。 綴られるのは、明治から昭和30年辺りの東京への回想なのだが、正直なところ、生まれていない頃の話なのでいまひとつ実感が湧かない。 河岸がコンクリートで固められる前の…
仕事のために図書館で借りて読んだ。 興味を惹くようなものは無かった。 これこそ時間の無駄遣いだろうか。 強い会社はこうして作られる! ITIL実践の鉄則作者: 久納信之出版社/メーカー: 技術評論社発売日: 2007/06/12メディア: 単行本(ソフトカバー)購入:…
図書館で借りてみた。 2:8の法則じゃないけれど、名言ばかりを集めてみても、どの本より素晴らしいものにはならないのが良く判る。 では何のためにアンソロジーを読むのか? 今まで読んだこと無い本に出会うためなのだ。 ことばの饗宴―読者が選んだ岩波文…
仕事帰りにふらっと図書館に寄って何となく借りてみたうちの一冊。 名作と言われるものを、あまり読んでいないので、夏の100冊フェアでもよくエントリーされているし、世間は夏休みだし、ちょっと読んでみようかと思った。 だが、この作品は本当に名作なのだ…
仕事帰りにふらっと図書館に寄って何となく借りてみたうちの一冊。 須賀敦子氏はアントニオ・タブッキの翻訳で知った。 この本は須賀氏自身がイタリアに暮らしていた頃の思い出であり、その後も含めた家族のエピソードを基にしたエッセイである。 その筆致は…
仕事帰りにふらっと図書館に寄って何となく借りてみたうちの一冊。 この本はトランスパーソナル心理学をベースにしたカウンセリングの導入のような本である。 いくつか、ワークの簡単な紹介もされている。 何をか言わんや(いや何も言うまい) 生きていくこ…
仕事帰りにふらっと図書館に寄って何となく借りてみたうちの一冊。 中島らも氏に特別の思い入れも無い。 亡くなってもう十年近く経つようだ。 この本は回想を中心とした、肩の力の抜けたエッセイだった。 それでも、ブルトン、フーコー、バタイユ、デュシャ…
正確にはドーマルをシュルレアリスムの文脈で理解することは誤っている。 (いうまでもなく、グルジェフからの間接的な薫陶を受けた神秘主義者と捉えるのも、同様の誤りだ) だが、ブルトンだけがシュルレアリスムを体現していたのではないし、シュルレアリ…
なんて読みにくい本なんだろう、というのが、まず感想である。 ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリの共著のうち、短いほうなのだと思うが、読みにくい本だ。 決して難解なのではないだろう。 カフカの作品を精神分析にかけて、テクストをネタに、マイナ…
澁澤龍彦氏の最晩年のエッセイである。 架空の対話形式で、裸婦を扱った絵画を縦横無尽に語っている。 かつてのような、ある種の教養主義的なトーンはなりを潜め、呑み屋での雑談のように軽やかだ。 連載の途中で病に倒れたため、巌谷國士氏が引き継いでいる…
読み返したのは、高校生以来だろうか。 世間が選挙で騒がしかったので、つい手にとってしまった。 つまり、その動機はこうだ。 マキャヴェリズムを裏返して、ポピュリズムに迎合する政治的状況を考えようと思った。 この「君主論」は、上手く統治するための…
ラッセルを知ったのは、高校の英語の副読本。 他にも、ディケンズの「デビッド・コパフィールド」や、ホワイトヘッドなんかを教材に使ってたのは、大学になってから改めて驚いた。 教材は良くても、語学力はちっとも身に付かなかった。 バートランド・ラッセ…