雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

語り

子に与ふ/北一輝

北一輝の遺言である。電子書籍で簡単に手に入るので読んでみた。日本改造法案大綱を読むかは分からない。 子に与ふ 作者: 北一輝 発売日: 2012/10/01 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る

我が人生観/坂口安吾

相変わらず電子書籍で坂口安吾を読み耽っている。 これは紙の本では読んだことが無かったが、なかなか面白い。 坂口安吾のエッセンスが詰まっているようなエッセイだ。 いちいち、そうだよなと思う事が多いが、翻って考えてみると、高校生の頃から坂口安吾を…

死と鼻唄/坂口安吾

引き続き電子書籍で読んでみた。 分かるような分からないようなエッセイだ。 鼻唄交じりに勝負に出るものは強い、という話。 戦場で死を見つめていない限りは死なないという話。 第二次世界大戦でのドイツ軍は、相手に死を思わせることが上手かったから強か…

自叙伝・日本脱出記/大杉栄

古本フェアで見つけて何となく買ってみたのだが、これが案外面白かった。 大杉栄がいったいどのような人物なのかは、ネットででも検索すれば良い。 また、甘粕大尉によって虐殺されたことだって、よく知られているところだろう。 この本は大杉栄が自分の半生…

意識・革命・宇宙/埴谷雄高、吉本隆明

最近でも埴谷雄高や吉本隆明は読まれているのだろうか。 自分が高校生の頃、この二人の論争があったっけ。 というか、ちょいちょい論争していたような気がする。 人文系の雑誌も読まなくなり、そういった話題にも興味がなくなって久しい。 この対談の本では…

若きサムライのために/三島由紀夫

初めて読んだ三島由紀夫は、澁澤龍彦の日本文学アンソロジー「暗黒のメルヘン」に収められていた「仲間」だったかと思う。 恐らく高校生の頃だろうか。 あの頃は三島由紀夫は学校では教えていなかったっけ。 近代文学までがせいぜいで、現代文学は扱いきれな…

真贋/吉本隆明

古本屋で見つけた。 晩年の吉本隆明氏へのインタビューを基にまとめた本である。 思えば、吉本氏の新たな本を読むのも久しぶりだ。 およそ1990年代後半以降、吉本氏の本から意識的に遠ざかっていた。 それは、その思想の如何に関わらず、一人の思想家の言葉…

ナショナル・ストーリー・プロジェクト/ポール・オースター

長いことこの本は買おうかどうしようかと迷っていた。 でも、先日思い切って買ったのだ。 買ったは良いのだけれど、今度は読もうかどうしようかと迷っていた。 (その隙に、電子書籍に手を出したりして) ポール・オースターがラジオ番組のために、聴取者か…

気違い部落周游紀行/きだみのる

あざといタイトルではある。 内容は、第二次世界大戦の前後に、東京の西の外れの山村の寺に住み着き、その村の人々の姿を描いた、民俗学的な内容だ。 何故このようなタイトルなのか、何を意図しているのかは、著者自身が丁寧に解説している。 幾分、戯画的に…

夢酔独言 他/勝小吉

勝小吉は、勝海舟の親父。 42歳で今までの半生を振り返って、こんな人生送るなよ、と戒めとして書いたもの。 なので、ありがたみも無く、説教臭いのだって嘘臭い。 奔放に好き勝手生きてきて、いまさらそれは無いんじゃないの、と言いたくもなる。 だが、そ…

背景の記憶/吉本隆明

ふと、吉本隆明氏の歯切れの良い文章に触れたくなる。 この本は、吉本氏が過去について触れた、雑多な文章を集めている。 あとがきによると、担当者の小川哲生氏の編集力も素晴らしいようだ。 吉本氏自身でも語っているように、ある種の自伝のようでもあり、…

忘れられた日本人/宮本常一

この本もまた、忘れられなくて買い直した本である。 集められた話の真偽を云々するつもりも無い。 語りの妙は、宮本常一氏の編集力が素晴らしいのだと思う。 改めて読み返してみると、取り止めも無く語られた話を、再構成したのだろう。 そこには、宮本氏自…

ヴォネガット、大いに語る/カート・ヴォネガット

ヴォネガットのエッセイを読むのは、これが初めてだ。 いつ買ったのかももう覚えていない。 様々なエッセイやら講演録やら含まれているが、小説と変わらない、いつものヴォネガット節とも言える。 その中でも特に、ビアフラに関するエッセイは、白眉だ。 (…

氷川清話/勝海舟

赤坂6丁目のマンションの立ち並ぶ一角に、勝海舟邸跡という碑がある。 当時を偲ばせるものは何もない。 その辺りは、氷川町といわれていたようだ。 なので、氷川清話という題なのだろう。 特に幕末好きという訳ではない。 だが、勝海舟は気になる。 江戸幕府…

奇妙な果実/ビリー・ホリデイ

時々、ビリー・ホリデイが聴きたくなる。 何故だかは判らない。 当然ながら、自分が生まれる前に亡くなっているし、親達が聴いていたわけでもない。 (小さい頃、父方の祖父母が浪花節を聞いていたのは覚えている) 独特の声の響きと、そこに漂うものに魅か…

詩という仕事について/ホルヘ・ルイス・ボルヘス

この本はボルヘスが1967年に行った講義録である。 テーマは、詩をめぐる ・詩という謎 ・隠喩 ・物語り ・言葉の調べと翻訳 ・思考と詩 ・詩人の信条 という6つである。 この中で、ボルヘスは韻文は散文に先行する、と述べている。 感覚的には、散文を形式化…

七つの夜/ホルヘ・ルイス・ボルヘス

どうしても気になっていたので買ってしまった。 この本は、1979年、ブエノスアイレスのコリセオ劇場での講演集であり、テーマは 神曲 悪夢 千一夜物語 仏教 詩について カバラ 盲目について の七つである。 穏やかに、時にはユーモアを交えながら語られる、…

ボルヘスとの対話/ホルヘ・ルイス・ボルヘス、G・シャルボニエ

フランス国営放送で流された、ボルヘスへのインタビューを本にしたもののようだ。 したがって、フランス向けにボルヘスを紹介する意図もあるためか、文学に対する考えを聞いたり、作品に対する自己解説も行っている。 だから、読み終わってみると何だか物足…

ボルヘス、オラル/ホルヘ・ルイス・ボルヘス

何冊も手にとっては、読みかけてやめてしまうのは、何だか気が乗らないということか。 だが、この本はするするするっと読み終わってしまった。 この本はボルヘスが、ベルグラーノ大学にて行った講演をまとめたもの。 形式や構造にこだわる小説世界とは異なり…

忘れられた日本人/宮本常一

時として勘で本を選ぶ。 本との出会いを偶然に委ねてみる。 この本は本屋の店頭で平積みにされていた。 民俗学者である宮本常一が、全国を歩き回って、古老の話を集めた本である。 昭和初期の頃の本らしく、古老たちは明治維新を記憶している。 彼らは百姓、…

生と死の境界線―「最後の自由」を生きる/岩井寛、松岡正剛

この本もまた図書館で借りた本である。 この本を知ったのは、松岡正剛の千夜千冊の第1325夜である。 それまで精神科医である岩井寛という名も、「森田療法」のことも知らなかった。(むしろ、興味が無かったと言うべきかもしれない) その話はさておき。 久…

闇の都市、血と交換―経済人類学講義/栗本慎一郎、笠井潔

何か足りないとしたら語り口闇の都市、血と交換―経済人類学講義 (Lecture books)作者: 栗本慎一郎,笠井潔出版社/メーカー: 朝日出版社発売日: 1985/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 栗本慎一郎と笠井潔という組み合わせで、経済人類学…

語りの海 吉本隆明〈3〉新版・言葉という思想/吉本隆明

語りの海 吉本隆明〈3〉新版・言葉という思想 (中公文庫)作者: 吉本隆明出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1995/05メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見る 3巻目は言語について語っている。 あるいは、言語という思想かもしれな…

語りの海 吉本隆明〈2〉古典とはなにか/吉本隆明

語りの海 吉本隆明〈2〉古典とはなにか (中公文庫)作者: 吉本隆明出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1995/04メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る 2巻目は古典について語っている。 古典についてと言うか、古典をどう読むか?ということであ…

語りの海 吉本隆明〈1〉幻想としての国家/吉本隆明

素材を存分に活かし、その美味しいところを味わあせて語りの海 吉本隆明〈1〉幻想としての国家 (中公文庫)作者: 吉本隆明出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1995/03メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る 吉本隆明の講演集である。 第1巻は国…

デュシャンは語る/マルセル・デュシャン、ピエール・カバンヌ

かわすデュシャンは語る (ちくま学芸文庫)作者: マルセルデュシャン,ピエールカバンヌ,Marcel Duchamp,Pierre Cabanne,岩佐鉄男,小林康夫出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1999/05メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 44回この商品を含むブログ (50件) を見…

越境のレッスン―東アジアの現在・五つの対話/四方田犬彦

忘れない越境のレッスン―東アジアの現在・五つの対話 (丸善ライブラリー)作者: 四方田犬彦出版社/メーカー: 丸善発売日: 1992/05メディア: 新書この商品を含むブログ (2件) を見る 越境、つまり国境を越えるために、そんな意図を以ってまとめられたのだろう…

写真とことば ―写真家二十五人、かく語りき/飯沢耕太郎

写真家が語る写真を語る写真とことば―写真家二十五人、かく語りき (集英社新書)作者: 飯沢耕太郎出版社/メーカー: 集英社発売日: 2003/01メディア: 新書購入: 2人 クリック: 46回この商品を含むブログ (10件) を見る この本で写真家が語る言葉は、言葉中心で…

動物化する世界の中で/笠井潔、東浩紀

交わした言葉が滑り出してしまうと止めるのは難しい動物化する世界の中で―全共闘以降の日本、ポストモダン以降の批評 (集英社新書)作者: 東浩紀,笠井潔出版社/メーカー: 集英社発売日: 2003/04メディア: 新書購入: 4人 クリック: 32回この商品を含むブログ (…

カメラの前のモノローグ 埴谷雄高・猪熊弦一郎・武満徹/マリオ・A

ひとりごとではないはずだがカメラの前のモノローグ 埴谷雄高・猪熊弦一郎・武満徹 (集英社新書)作者: マリオA出版社/メーカー: 集英社発売日: 2000/05メディア: 新書 クリック: 1回この商品を含むブログ (9件) を見る なんとなく読み返してみると、かなり面…