雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

麻薬書簡/ウィリアム・S・バロウズ + アレン・ギンズバーグ

バロウズやギンズバーグの人となりについて、ここで書くのは止めておこう。 この本は何かというと、ラブレターであり、そして、旅行記でもある。 1953年にバロウズがパナマ、コロンビア、ペルー、エクアドルを放浪し、イェージを探し、いかがわしいところに…

ソヴェト旅行記/アンドレ・ジイド

今はソ連という国もないし、アンドレ・ジイドもとうの昔に亡くなっている。 1936年だから、もう80年近く前に、ジイドがソ連に滞在した時の紀行文である。 ジイドは何冊かしか読んだことがない。 この本において、ジイドはそれまでソ連に抱いていた賛嘆と愛着…

新編日本の面影/ラフカディオ・ハーン

日本について考えることは難しい。 飛行機に乗れば、離陸していくにつれて、住んでいる街が小さく遠ざかってゆく。 そこに見えるのは日本の街であるに違いない。 例えば、中国人の友人と話していると、日本人である自分を意識する。 だが、自分にとって日本…

第一阿房列車/内田百けん

目的もなく旅に出る。 旅というよりはただ列車に乗る。 現代で言うところの「乗り鉄」に近いのかもしれないが、目的があってはならない。 「阿房と云うのは、人の思わくに調子を合わせてそう云うだけの話で、自分で勿論阿房だなどと考えてはいない。用事がな…

東海道中膝栗毛/十返舎一九

やじさんきたさんの名前ぐらいは知っていても、実際に読んでなかったので、図書館で借りてみた。 全編、悪戯と駄洒落と狂歌の旅だ。 下ネタも各地の方言も満載だ。 江戸から逃れるように旅に出たものの、逃避行ではない。 悪戯を繰り返し、決まってひどい目…

山躁賦/古井由吉

実は、古井由吉については、良く知らない。 持っているのもこの本だけである。 文学史上は「内向の世代」と言われるようだ。 でも、世代で文学を捉えて、それで何かが解かったつもりになっていたとしたら、最初から本を読む必要はないんじゃないだろうか? …

芭蕉紀行文集/松尾芭蕉

この本は、 「野ざらし紀行」 「鹿島詣」 「笈の小文」 「更科紀行」 「嵯峨日記」 の5篇が集められている。 私は松尾芭蕉を深く研究したこともなく、俳諧について語れるほどの造詣も持ち合わせてはいない。 だが、この本を読んで思うのは、「生きる」とい…

貧困旅行記/つげ義春

本のタイトルが、その内容を裏切らない。 鄙びた、といえば聞こえが良いが、この本に出てくるような宿屋に泊まってみたいとは思わない。 観光という種類の旅ではなく、日常からの逃避というのに近いようだ。 それまでの日常を捨てて、ひっそりと塵に埋もれる…

猫町 他十七篇/萩原朔太郎

いまさらながらに、萩原朔太郎について特に記す必要もないだろう。 この本は、表題作である「猫町」を含む小説3篇と、その他、散文詩的な随筆が収められている。 従って、萩原朔太郎の作品世界の本筋とは言い難いだろう。 それぞれの作品は短く、あっという…

Ambarvalia/旅人かへらず/西脇順三郎

この本に納められている二つの詩集「ambarvalia」は1933年(昭和8年)、「旅人かへらず」は1947年(昭和22年)に刊行されている。 一見すると、この二つの詩集は、大きく趣きを異にしているように見える。 「ambarvalia」は、古代ギリシア・ローマを題材に、…

マレー蘭印紀行/金子光晴

この本は、金子光晴氏が昭和初期に東南アジアを放浪した頃、発表するあても無く書き綴っていた紀行文とでも言えようか。 なぜ放浪していたのか、それは他の著書のテーマであり、この本のテーマではない。 描かれるのは、放浪先の土地に暮らす人々の姿、貧し…

ぼく東綺譚/永井荷風

改めて言うまでもなく、永井荷風の代表作だろう。 簡単に纏めるならば、主人公の作家が小説の構想を練るために、玉の井界隈を徘徊し、運命的な女性に出会うのだが、そこには恋愛の物語が成就しない、というより主人公が成就させない。 彼女が主人公にとって…

満洲鉄道まぼろし旅行/川村湊

満洲国に関する様々な本は出版されているが、この本は当時の写真や広告といった資料から、架空の旅行として再構成している。 正面立って政治問題や、歴史問題として論じるのではなく、言うならば裏側(むしろ側面か?)から、「満洲国」の姿を捉えようとして…

ガリヴァ旅行記/ジョナサン・スウィフト

この本もまた図書館で借りた本である。 子供でも知っている「ガリバー旅行記」なのだが、改めて読んでみると、これが何とも言い難い。 まずこの物語は、作者であるジョナサン・スウィフトの生きていた18世紀のイギリス(アイルランド?)社会を諷刺している…

どうして僕はこんなところに/ブルース・チャトウィン

この本もまた図書館で借りた本である。 ブルース・チャトウィンは何年か前の「Switch」の特集で知った。 サザビーズの鑑定人を経て、旅にとり憑かれたイギリス人作家、というより、むしろ旅に生きた人のようだ。 この本は、そんなチャトウィンの短いエッセイ…

西蔵放浪/藤原新也

世界の果てのような景色/人々の息遣い西蔵放浪 (朝日文芸文庫)作者: 藤原新也出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 1995/06メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (14件) を見る この本は厚さ5センチぐらいあって、片手で持つのはなか…

新編「昭和二十年」東京地図/西井一夫、平嶋彰彦

消えていた空白を埋めるための時間の旅新編「昭和二十年」東京地図 (ちくま文庫)作者: 西井一夫,平嶋彰彦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1992/07メディア: 文庫 クリック: 14回この商品を含むブログ (10件) を見る 著者は『東京都三十五区区分地図帖』と…

宇宙旅行ハンドブック/エリック・アンダーソン

たかい宇宙旅行ハンドブック作者: エリック・アンダーソン出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/02/15メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (14件) を見る 子供の頃、宇宙旅行を夢見たことは無いだろうか? 宇宙飛行士になりたい…

インド夜想曲/アントニオ・タブッキ

日常の隙間にそっと滑り込む誘惑にインド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)作者: アントニオタブッキ,Antonio Tabucchi,須賀敦子出版社/メーカー: 白水社発売日: 1993/10メディア: 新書購入: 9人 クリック: 44回この商品を含むブログ (72件) を見る 読…

西ひがし/金子光晴

旅に誘うもの西ひがし (中公文庫)作者: 金子光晴出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2007/12/20メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る いよいよ、ベルギーから日本へ向けて帰ってくるのだが、シンガポールで放浪する。…

ねむれ巴里/金子光晴

西も東もねむれ巴里 (中公文庫)作者: 金子光晴出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2005/06/25メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 5回この商品を含むブログ (39件) を見る マレー半島からパリ、そしてブリュッセルへと放浪する。 ここに描かれるパリは「花…

日本魔界案内―とびきりの「聖地・異界」を巡る/小松和彦

深く暗い領域日本魔界案内―とびきりの「聖地・異界」を巡る (知恵の森文庫)作者: 小松和彦出版社/メーカー: 光文社発売日: 2002/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る タイトルにつられると肩透かしを食う本かもしれない。 神話や伝承に登場す…

マレー蘭印紀行/金子光晴

交じり合うマレー蘭印紀行 (中公文庫)作者: 金子光晴出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2004/11/25メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 18回この商品を含むブログ (28件) を見る 昭和の初期の頃だろうか。 マレーシア、インドネシア、シンガポールの辺り…

恋愛のディスクール/植島啓司

自らへの懲罰恋愛のディスクール (福武文庫)作者: 植島啓司出版社/メーカー: ベネッセコーポレーション発売日: 1995/11メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る この本は、小説であり、旅行記であり、ロラン・バルトへのオマージュであり、「宗教的…

銀河鉄道の夜 他十四篇/宮沢賢治

おまへの實驗はこのきれぎれの考へのはじめから終りすべてにわたるやうでなければいけない銀河鉄道の夜 他十四篇 (岩波文庫 緑76-3)作者: 宮沢賢治,谷川徹三編出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1951/10/25メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 7回この商品を…

もし僕らのことばがウィスキーであったなら/村上春樹

のせられてもし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2002/10/30メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 123回この商品を含むブログ (139件) を見る 先週の金曜日に帰りの電車の中で隣に座った方がこの…

沖縄文化論/岡本太郎

根源へ沖縄文化論―忘れられた日本 (中公文庫)作者: 岡本太郎出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1996/06/18メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 126回この商品を含むブログ (67件) を見る 沖縄とは何か?ということと、岡本太郎の眼を通すと何が見えるか?と…

深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン/沢木耕太郎

記憶の中の旅深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1994/05/30メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 18回この商品を含むブログ (84件) を見る イタリアからスペイン、ポルトガルと旅の終着点まで。 …

深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中海/沢木耕太郎

旅という生活深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中海 (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1994/05/30メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 38回この商品を含むブログ (84件) を見る トルコからギリシャ、エーゲ海と、旅は終盤に差し掛…

深夜特急〈4〉シルクロード/沢木耕太郎

旅をするという生き方なのだろうか深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1994/04/28メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 11回この商品を含むブログ (95件) を見る インドの混沌を抜けて、パキスタン、アフガ…