雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

アンソロジー

近世畸人伝/伴蒿蹊

江戸に留学中。 とは言え、石川淳や永井荷風、杉浦日向子といった先人には遠く及ばず、ぶらぶら散歩する程度のものだ。 この本は様々な人のエピソードを綴ったもの。 必ずしも、ストレンジだったり、クレイジーだったりはしない。 むしろ、忠孝義に秀でた人…

幻獣辞典/ホルヘ・ルイス・ボルヘス、マルガリータ・ゲレロ

古今東西の想像上の動物のコレクションである。 こういう本は、何か調べ物で開くか、純粋に暇つぶしで読むかのどちらかだろう。 もちろん、今回は後者で、正月休みの間にちょこちょこ読み耽っていた。 感想を書くのはどうにも難しい。 あえてひとつ紹介する…

不思議図書館/寺山修司

最初に読んだ寺山修司は、この本か、あるいは、「棺桶島を記述する試み」だったと思う。 この本は、その頃に住んでいた家の近所の、小さな町の本屋さんで買ったと記憶している。 奥付を見ると初版なので、新刊として置いてあったのだろうか。 この本は、寺山…

紋切型辞典/ギュスターヴ・フローベール

この本の存在を知ったのは、蓮實重彦の「物語批判序説」だったろうか。 もうその本も処分してしまい、基よりフローベールも読んだことなく、忘れていたのだけれど、ふと本屋でこの本を見かけて思い出した。 とは言え買う気はしないので、図書館で借りること…

エバは猫の中(ラテンアメリカ文学アンソロジー)

ラテンアメリカという括りで文学を語ってしまうことにどれだけの意味が在るのか。 だが、世界文学に対して、各国の違いを明確に語れないのだから、ラテンアメリカという括りで見たほうが理解しやすい、って事もある。 そもそも、世界文学って言ってる時点で…

両手いっぱいの言葉―413のアフォリズム/寺山修司

何となく寺山修司の言葉に触れたくなった。 この本は寺山修司の様々な著作から選び出された「気の利いた言葉」が、ローマ字でのアルファベット順のテーマに沿って並べられている。 意図したのか偶然なのか、「愛」に始まって、「夢」で終わる。 それぞれの言…

怪奇小説傑作集4 フランス編

持っていたはずなのに、本棚に見当たらない。 いつの間にか処分してしまったのだろうか? ということで、図書館で借りてみる。 本当にこの本は読んだことがあったのだろうか? どの短編も記憶にない。 この本に辿り着く前に、新潮文庫の3冊揃いの短編集を読…

ボルヘス怪奇譚集/ホルヘ・ルイス・ボルヘス、アドルフォ・ビオイ=カサレス

別の本を読んでいたのだが、息抜きに読み始めたこちらの本が先に読み終わった。 怪奇譚と言いつつ、原題は「Cuentos Breves y Extraordinarios」つまり、Extraordinaryで短い話、普通じゃないぐらいのニュアンスだろうか。 それにしても、古今東西の文献から…

ビックリハウスのエンピツ賞傑作選

その昔、「ビックリハウス」という雑誌があったことは、たぶんもう忘れられているかもしれない。 ありきたりな言い方をすれば、サブカル雑誌ということになるのかもしれない。 糸井重里、栗本慎一郎、YMO、忌野清志郎、橋本治、高橋章子、榎本了壱、みうらじ…

本本堂未刊行図書目録―書物の地平線/坂本龍一

本本堂未刊行図書目録―書物の地平線 (1984年) (週刊本〈6〉)作者: 坂本龍一出版社/メーカー: 朝日出版社発売日: 1984/11メディア: ?購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 坂本龍一が企画した「本本堂」という出版社の、「未刊行」の目…

戦後短篇小説再発見10 表現の冒険

家とか父親とか戦後短篇小説再発見10 表現の冒険 (講談社文芸文庫)作者: 講談社文芸文庫出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/03/04メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 94回この商品を含むブログ (14件) を見る 短編小説というジャンルに、日本文学「らしさ…

詩の力/吉本隆明

詩の力 (新潮文庫)作者: 吉本隆明出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/12/20メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 9回この商品を含むブログ (26件) を見る これは良い本だと思った。 現代詩を中心に短歌、俳句、歌謡曲までを射程において、吉本隆明が平明に語…

中国怪談集

中国怪談集 (河出文庫)作者: 中野美代子,武田雅哉出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1992/03メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る これは奇書というべきだろう。 この本の編者たちは、「物語の最も卓越した語り手は…

東欧怪談集

幻想・亡霊・血そして東欧東欧怪談集 (河出文庫)作者: 沼野充義出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1995/01メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る 東欧とはどんな所だか、知っているようで知らない。 何人かの作家や哲学者の本…

文豪ナンセンス小説選

文豪ナンセンス小説選 (河出文庫)作者: 夏目漱石出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1987/07メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見る ナンセンスとは何か、ということに対する、編者の考えが、この本をどう読み解くかということに…

両手いっぱいの言葉―413のアフォリズム/寺山修司

思い出したくないけれど忘れられない両手いっぱいの言葉―413のアフォリズム (新潮文庫)作者: 寺山修司出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1997/09/30メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 40回この商品を含むブログ (28件) を見る 寺山修司の様々な著作から、「気…

巨人ポール・バニヤン―アメリカの奇妙な話〈1〉/ベン・C・クロウ

巨人ポール・バニヤン―アメリカの奇妙な話〈1〉 (ちくま文庫)作者: ベン・C.クロウ,Ben C. Clough,西崎憲出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2000/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る アメリカの都市伝説やホラ話などを集めている。 都市伝説…

奇妙な遺言100/ロバート・S・メンチン

奇妙な遺言100 (ちくま文庫)作者: ロバート・S.メンチン,Robert S. Menchin,中西秀男出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1993/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 遺言について考えたことはあまりない。 そして、遺言…

ポケットに名言を/寺山修司

きりはなされてさいこうせいされてさいはいちされるポケットに名言を (角川文庫)作者: 寺山修司出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/01メディア: 文庫購入: 19人 クリック: 199回この商品を含むブログ (130件) を見る 名言とは何か? そこにあるのは、そ…

秘密。―私と私のあいだの十二話

いわゆるジャケ買い秘密。―私と私のあいだの十二話 (ダ・ヴィンチ・ブックス)作者: 吉田修一,森絵都,佐藤正午,有栖川有栖,小川洋子,篠田節子,唯川 恵,堀江敏幸,北村薫,ダヴィンチ編集部出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2005/03メディア: 文庫…

百年の愚行

いままでも、そして、これからも百年の愚行 ONE HUNDRED YEARS OF IDIOCY [普及版]作者: 池澤夏樹,アッバス・キアロスタミ,フリーマン・ダイソン,鄭義,クロード・レヴィ=ストロース,小崎哲哉,Think the Earth Project出版社/メーカー: Think the Earthプロジ…

1秒の世界

瞬間に1秒の世界 GLOBAL CHANGE in ONE SECOND作者: 山本良一,Think the Earth Project出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2003/06/13メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 19回この商品を含むブログ (27件) を見る 1秒という時間の中で、地球環境では…

仏教経典散策/中村元

深くて広い知の集積体に接する仏教経典散策作者: 中村元出版社/メーカー: 東京書籍発売日: 1998/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る たまに引っ張り出して読んでみる本。様々なお経について簡潔にまとめられている。この本を読むと、お経…

戊辰物語

江戸が東京になったころはまだ余裕があったのだろうか戊辰物語 (岩波文庫 青 431-1)作者: 東京日日新聞社会部出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1983/01/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) を見る 140年近く前に江戸から東京になった。京都、大阪…

新耳袋―現代百物語〈第4夜〉

こわいことはだれにもわからない新耳袋―現代百物語〈第4夜〉 (角川文庫)作者: 木原浩勝,中山市朗出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2003/06メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 14回この商品を含むブログ (21件) を見る 怪談を読むことは怖くない。恐怖は体験…

澁澤龍彦コレクション (1)

たにんのゆめをのぞくように澁澤龍彦コレクション (1)作者: 澁澤龍彦出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1984/11メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る 澁澤龍彦は高校生の頃、貪るように読んだ。河出文庫で出ていた著作は全…

新耳袋 第五夜 − 現代百物語

冬に怪談。私自身はこういった怪異に遭ったことは無いものの、好きで読んでしまう。 説明のつかないもの、正体の分からないもの、 自分が知らないことを、他の人は知っている、ということ。また語りの巧さもある。 こんなことがあった、それでおしまい。 そ…