雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

ふたご/藤崎彩織

エッセイに引き続き小説の方も読んでみた。 小説の設定と作者の状況が、どうしても近いように思えてしまうのは、作品にとってデメリットだと思うのだが、どうなのだろう? 作品の出来をどうこう言うつもりもないし、作品世界と作者の置かれてる環境を重ね合…

低空飛行/原研哉

ラジオで紹介していたので、借りてみた。 元はWebサイトらしい。 日本を再評価し、観光業、ホテル業をリデザインする、という内容だと思った。 有名なデザイナーらしく、無印良品の家なども手掛けていることも知った。 だが正直なところ、この本の前半部分の…

ねじねじ録/藤崎彩織

気になったので借りてみた。 SEKAI NO OWARIのキーボーディストとして知ってはいた。 まだバンドが、世界の終わり、という名前だった頃に、一枚だけアルバムを聴いた。 好みではないけれど、すごいなぁ、とは思ったっけ。 そのメンバーであるSAORI氏は、ブロ…

人は2000連休を与えられるとどうなるのか?/上田啓太

とある場所で紹介されてたので読んでみた。 2,000日は6年弱、友人?の家に居候しながら、考えを巡らし、何かを試みる、という記録のような、随筆のような得体の知れない本だ。 なにかの目標に邁進するのではない。 また、真似したいとも思わない。 だが思考…

白痴・二流の人/坂口安吾

久しぶりに坂口安吾を読み返してみた。 なんとは無しに、角川文庫版である。 最初期の「木枯しの酒蔵から」「風博士」そして、「二流の人」「白痴」「青鬼の褌を洗う女」あたりが収められている。 坂口安吾の小説世界は、何だか危ういようでもあり、かなり硬…

物理学とは何だろうか/朝永振一郎

中学生の頃に買ってもらった本である。 その買ってもらった本は、いつだったか処分してしまったので、改めて買い直した。 上巻は、ケプラーからカルノーまでを辿る。 タイトルの通り、「物理学」が成立する過程をたどっていく。 ケプラー、ガリレオ、ニュー…

はじめてのUXデザイン図鑑/萩原昴彦

UXとはuser experience。 ユーザー体験をデザインする、ということ。 ターゲットとするユーザーを想定し、サービス、モノを開発する手法が流行っているので読んでみた。 分厚い本だがあっという間に読み終えた。 たぶん表面的にしかなぞっていない。 この分…

ふなふな船橋/吉本ばなな

なんとなく借りたもう一冊。 吉本ばなな氏はたぶん今まで1冊読んだことが有るか無いかぐらいだと思う。 まるで少女漫画のような小説だと思った。 性別で小説を分類するつもりはないが、主人公の独白の多さと、風景の少なさ、登場人物との会話、そういった要…

異類婚姻譚/本谷有希子

何となく借りてみたもう一冊。 確か劇団を主宰している方じゃなかったかと記憶しているが、舞台演劇は苦手なのでよく知らない。 4篇の短編小説が収録されている。 何だか気味の悪いような物語だが、言い得て妙な部分もあるなと思った。 表題作「異類婚姻譚」…

コンビニ人間/村田沙耶沙

ふと読んでみたくなった。 短いストーリーながらかなり読み応えがあった。 あらすじを紹介してもしょうがない。 読んで、安部公房の物語の感じがした。 現実に違和感のある不条理な世界観がユーモラスに描かれている、というと何だか安っぽいがその安っぽさ…

skmt 坂本龍一とは誰か/坂本龍一、後藤繁雄

良くも悪くも坂本龍一氏は変わったのだと思った。 それを否定する気はないけれど、考えの距離感を実感した。 いや、もともとそんなに距離が近いと感じていたのかどうかも疑問なのだが、遠いところの人のように思った、という言い方のほうがしっくりするかも…

2020年6月30日にまたここで会おう/瀧本哲史

再び読んでみた。 前に読んだのは2年前の7月だった。 何となく面白かった記憶だったけれど、読んでみたらこんな内容だったっけ、と思った。 記憶は美化される、ということだろうか。 ファナティックなアジテーションで、衰退する日本を憂う、という内容だが…

すべて忘れてしまうから/燃え殻

何となく気になっていたので、図書館で予約していたのだけれど、酔っぱらって寄ったブック〇フにあったので買った。 小説もそうだったが、若い頃の焦燥感みたいなものと、諦念のようなものが、上手いバランスで表れているように思った。 全然違う人生なのに…

55歳からのハローライフ/村上龍

久しぶりに村上龍氏の小説を手に取った。 そして、「ハローワーク」と読み違えていたことに気づいた。 60歳前後の主人公たちの物語である。 まぁ、若い頃は読まなかったろうな、と思ったが、自分が若い頃は作者も若いので、このような作品は書かなかったろう…

風眼抄/山田風太郎

山田風太郎の名前は聞いたことはあっても、実際読んだことは今までない。 推理小説や時代小説が好きだったら通る道なのかもしれないが、ちょっと昔の大衆小説という気がするので、最近の若い人たちも読まないのかもしれない。 いきなり物語の世界に飛び込む…

飛行士たちの話/ロアルド・ダール

田村隆一のエッセイに登場していたので借りてみた。 イギリスのミステリー作家らしいが、ミステリー的な話は少なかった。 どちらかというと不思議なテイストの短編小説だと思った。 誤解を恐れず言うなら、ちょっとおしゃれ系な雑誌に紹介されるような小説で…

スコッチと銭湯/田村隆一

何もない日の午後に読みたい本は何だろうかと本棚を眺めて手に取った。 買ったのは1998年12月31日の旭屋書店銀座店。 なぜ分かるかというと、レシートが挟んであった。 今はもう無いらしい。 四半世紀前に買った本だったが、書かれたのは更に20年ほど前の197…

坐禅ガール/田口ランディ

何となく田口ランディ氏を手に取った。 というのも、前に買ったはずの本が、家の本棚に見つからなかったからだ。 タイトルに何となく惹かれた。 が、読んでみて、やはりちょっと苦手だと思った。 どこをどうも言うことでもないが、おそらく今まで身近にはい…

村上T 僕の愛したTシャツたち/村上春樹

タイトルの通り、村上春樹氏が所有しているTシャツを紹介する雑誌の連載をまとめたもの。 Tシャツの写真にそれぞれのエピソードやらちょっとした小ネタの文章が添えられている。 軽く読める本。 あとがきは野村訓市氏が聞き手になってインタビューしている。…

賢者は幸福ではなく信頼を選ぶ。/村上龍

久しぶりに村上龍氏のエッセイを読む。 「すべての男は消耗品である」を手に取ったのは、大学生の頃だったかと思うと、かれこれ約30年前である。 その間も村上龍氏の文章は見かけたこともあると思うが、あまり記憶に残っていない。 小説は何冊か手に取った。…

ボクたちはみんな大人になれなかった/燃え殻

深夜ラジオで、著者がパーソナリティを務めている番組があって、夜中に目を覚まして何度かうつらうつらと聞いたことがある。 この本は150頁ほどで、あっという間に読めたが、内容は何とも消化しがたい。 読んで思い出したのは、田口賢司「ボーイズドントクラ…

音楽は自由にする/坂本龍一

坂本龍一氏の自伝である。 とはいえ、2009年に語っているので、それ以降の3.11や闘病生活等は語られていない。 知っていらエピソードもあれば、知らなかったエピソードもある。 こうしてまとめて読んでみて、坂本龍一氏は劣等感に対して色んな努力をして成し…

長電話/高橋悠治、坂本龍一

ふと読み返してみた。 高橋悠治氏と坂本龍一氏が、ホテルの内線電話越しに対談をしている本。 YMOが散開した頃、坂本美雨氏が子供で、両親の曲を聴かされて踊るエピソードが登場する。 若い人たちに関してとか、海外についての印象とか、当時から見た未来の…

藤澤清造短篇集

短編集も読んでみた。 貧乏と性欲が主軸になって、皮肉めいた笑いがあるように思ったが、その感覚はあまりピンとこなかった。 まぁ、そういうこともあるだろう。 藤澤清造短篇集 一夜/刈入れ時/母を殺す 他 (角川文庫) 作者:藤澤 清造 KADOKAWA Amazon 藤…

根津権現裏/藤澤清造

西村賢太氏からの流れで藤澤清造を知る。 私小説というか、狂人をモデルにした独白体の小説、といえばいいのか。 主人公が自殺してしまった友人の話を、友人の兄に語るのが大半で、そこに主人公の独白が交じる。 友人の奇行は、ある種、ユーモラスに描かれる…

カツオが磯野家を片づける日/渡部亜矢

タイトルだけで借りてみた。 波平さんの不慮の逝去によって磯野家のゴミ屋敷問題、遺産相続問題が明らかになる、というハウツー本だった。 と言っても、ふざけているのではなく、いたって真面目である。 磯野家という家族システムのその後という設定が秀逸だ…

東京者がたり/西村賢太

引き続き、西村賢太氏を読んでみる。 江戸川区の出身で、たぶん歳は少し上、バブルや東京の西とは距離のある感じで、なんとなく近しい感じがする作家が、どんな東京を見ていたのか気になった。 取り上げられている町、語られる言葉、どちらも私小説作家らし…

苦役列車/西村賢太

初めて読んだ。 名前は知っていてもなかなか手が伸びなかったのは、私小説だからに他ならない。 私小説というサブジャンルは昔から何となく遠ざけていた。 内面の吐露という、作者のはらわたを見せられているような文章は、つい好きか嫌いかで判断してしまっ…

高円寺純情商店街/ねじめ正一

以前読んだことがある気がしていたのだけれど、実は初見かもしれない。 ねじめ正一氏を知ったのは、10代の頃だと思う。 当時は現代詩を読み漁っていたので、自然と辿り着いたと思う。 とはいえ、詩と小説は全く異なっている。 記憶の中の印象ではあるが、句…

もの思う葦/太宰治

何となく図書館で手に取ってみた。 橋本治氏からの太宰治氏、という訳でもない。 そんな駄洒落で読む本を選んでいたとしたら、それはそれでちょっと自分を見直したい。 恐らく生涯で読む太宰治の5冊目ぐらいの感じだと思う。 あまり好きではないどころか、…